血液癌(読み)ケツエキガン

日本大百科全書(ニッポニカ) 「血液癌」の意味・わかりやすい解説

血液癌
けつえきがん

血液細胞をつくる造血組織の異常が原因となって、血管やリンパ組織内に発生する癌。造血器腫瘍(しゅよう)ともよばれる。特定の臓器や組織などに肉眼でも明らかな塊として認められる、消化器癌や肺癌などの固形癌とは区別される。造血組織とは赤血球白血球および血小板などの血液細胞を産生する組織である。これに異常をきたし造血幹細胞が癌化して血液中の白血球が無制限に増加すると白血病となる。白血病は血液癌の代表的なものであるが、ほかにもリンパ組織から発生する悪性リンパ腫や、形質細胞が癌化して骨髄に腫瘍性増殖をきたす多発性骨髄腫などがある。

 白血病の治療として、従来は制癌剤による治療に加えて骨髄移植が有効とされてきたが、近年になって血液癌に著効性を示す制癌剤が開発されており、制癌剤投与のみで寛解し治癒することも可能となっている。この制癌剤投与による化学療法を寛解導入療法とよび、白血病細胞を減少させ早期に寛解に導く目的で行われる。しかしこの治療によって寛解したあとも血液中にはまだ白血病細胞が残っており、再発を防ぎ、残っている白血病細胞を消滅させ長期予後を改善する目的で、地固め療法や維持強化療法などの化学療法が施行される。これを寛解後療法(維持療法)とよぶ。

[編集部 2016年10月19日]

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