行縢山(読み)むかばきやま

改訂新版 世界大百科事典 「行縢山」の意味・わかりやすい解説

行縢山 (むかばきやま)

宮崎県北部,延岡市中部にある山。山頂部は東西二つの岩峰に分かれ,東の雄岳(799m),西の雌岳(831m)が遠くから眺めると,行縢に似ているのでこの名がある。北方大崩(おおくえ)山(1643m)が新第三紀中新世(2600万年前)に噴出したとき,その南側のひび割れに花コウ斑岩が噴出して険しい山が円弧状に並んだが,その主峰がこの山である。頂上近くに行縢ノ滝(高さ100m,幅20m)がかかり,山麓には8世紀前半創建という行縢神社がある。祖母傾(そぼかたむき)国定公園に属する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「行縢山」の意味・わかりやすい解説

行縢山
むかばきやま

宮崎県北部、延岡市(のべおかし)北西部にある山。中腹絶壁に落差80メートルの行縢ノ滝がかかる。標高830メートルの花崗斑岩(かこうはんがん)の岩山で、東西に切り立った断崖(だんがい)が連なる。行縢山の形成は第三紀中新世で、北西部の大崩山(おおくえやま)花崗岩体の上昇に伴う割れ目に花崗斑岩が貫入したものである。この岩脈は西から東に丹助(たんすけ)岳、矢筈(やはず)岳、比叡(ひえい)山、行縢山、可愛(えの)岳と続き、いずれも険しい山容である。山は西の雄(お)岳、東の雌(め)岳(799メートル)に分かれ、中間に滝がかかる。延岡市の近郊にあってバスの便もあり、市民の行楽地となっている。祖母傾国定公園(そぼかたむきこくていこうえん)に属する。なお、行縢は古代乗馬用の皮脚絆(かわきゃはん)で、形が山容に似るため、名づけられたという。

[横山淳一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「行縢山」の意味・わかりやすい解説

行縢山
むかばきやま

宮崎県北部,延岡市西部にある山。標高 830m。全山に奇岩絶壁がそそり立ち,頂上部は二つの岩峰に分かれ,その遠望が行縢 (むかばき武士狩猟などの際に腰部から脚部を覆った布や革) に似ていることからこの名がある。頂上近くに高さ 77m,幅 20mの行縢の滝 (矢筈の滝) があり,九州名瀑の一つに数えられている。祖母傾国定公園に属する。

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