日本歴史地名大系 「延岡市」の解説 延岡市のべおかし 面積:二八三・七六平方キロ県の北東部に位置し、東は日向灘に面する。北は東臼杵郡北川(きたがわ)町、北東は同郡北浦(きたうら)町、西は同郡北方(きたかた)町、南は同郡門川(かどがわ)町に接する。北西部は可愛(えの)岳(七二七・七メートル)から西境の行縢(むかばき)山(八二九・九メートル)の山々が連なり、北東部には鏡(かがみ)山(六四五・四メートル)・岳(たけ)山(六一三・八メートル)があり、また南境は烏帽子(えぼし)岳(三六二・一メートル)に続く山地である。市街地は北部を南流する北(きた)川、南東流する祝子(ほうり)川、中央部南を東流する五ヶ瀬川・大瀬(おおせ)川の各河川が形成する沖積平野に開ける。〔原始・古代〕五ヶ瀬川流域には阿蘇溶結凝灰岩の堆積によって形成されたなだらかな丘陵地が広がり、AT火山灰やアカホヤ火山灰が良好に堆積しており、古くから人々の営みの場として利用されてきた。開墾などによって遺物が表面採集され、旧石器時代から古墳時代の遺跡が群集することが知られている。とくに南方(みなみかた)地区には流域最大の旧石器時代の遺跡が分布し、舞野(まいの)町の赤木(あかぎ)遺跡はナイフ形石器文化層と細石器文化層(東九州)の指標遺跡となっている。また近年の発掘調査によって畑山(はたやま)遺跡(小川町)・今井野(いまいの)遺跡群(天下町)・吉野(よしの)遺跡(吉野町)が確認され、沖積平野の独立丘陵にある延岡城跡(本小路)でも旧石器時代の遺跡が確認されている。縄文時代の遺跡は地蔵(じぞう)ヶ森(もり)遺跡(小峰町)、祝子川流域にある上池(かみいけ)遺跡(大野町)などがある。また押型文土器・塞ノ神式土器を伴う大貫(おおぬき)貝塚(大貫町)、後期・晩期の沖田(おきた)貝塚(小野町)が知られる。弥生時代―古墳時代の遺跡は丘陵地から沖積平野部にいたる広い範囲で確認されている。中尾原(なかおばる)遺跡(細見町)は弥生時代後期後半―古墳時代後期にかけての集落遺跡で、竪穴住居跡六二軒が確認されている。集落遺跡としてはほかに今井野遺跡群と差木野(さしきの)遺跡(差木野町)などがあり、延岡城跡からは県内で初めて弥生時代終末期の木製農具(鋤)が出土、足跡などが検出されている。墳墓は天下(あもり)地区・大貫地区ほか広域に及ぶ南方古墳群(国指定史跡)、祝子・粟野名(あわのみよう)地区に延岡古墳群(昭和一四年延岡市古墳として県指定史跡)、樫山(かしやま)古墳群、熊野江(くまのえ)地区に南浦(みなみうら)箱式石棺群(昭和一七年南浦村古墳として県指定史跡)などが分布し、うち天下地区・大貫地区・樫山地区には前方後円墳がみられ首長墓群を形成している。 延岡市のべおかし 2006年2月20日:延岡市が東臼杵郡北浦町・北方町を編入⇒【北浦町】宮崎県:東臼杵郡⇒【北方町】宮崎県:東臼杵郡⇒【延岡市】宮崎県 延岡市のべおかし 2007年3月31日:延岡市が東臼杵郡北川町を編入⇒【延岡市】[変更地名]宮崎県⇒【北川町】宮崎県:東臼杵郡 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「延岡市」の意味・わかりやすい解説 延岡〔市〕のべおか 宮崎県北部,日向灘に面する市。北で大分県に接する。1933年市制。1936年東海村,伊形村の 2村,1955年南方村,南浦村の 2村,2006年北方町,北浦町の 2町,2007年北川町をそれぞれ編入。市内には五ヶ瀬川,祝子川 (ほうりがわ) ,北川が貫流し,水の豊かな地域として知られる。中心市街地の延岡は五ヶ瀬川の三角州に広がる。6世紀半ばに土持氏の荘園,県荘 (あがたのしょう) として開かれた。天正15 (1587) 年の豊臣秀吉による九州統一後は,高橋氏,有馬氏,三浦氏,牧野氏,内藤氏と,めまぐるしい藩主交代のもと城下町として栄え,明治を迎えた。1923年の日豊本線開通により,県北部の物資集散地となり,日本窒素肥料の硫酸アンモニウム工場が建設されて以来,豊富な水源を利用して工業都市として発展を遂げ,薬品,食品,化学,繊維などの産業が進出した。1964年には日向市とともに新産業都市に指定され,東九州の工業の一中心地を形成。市街地周辺の農村部では温暖多雨の気象条件を利用して近代的な農業が営まれている。西部の山間地帯ではシイタケ,カキ,クリなどを栽培。漁業も盛んで,土々呂 (ととろ) や島野浦島,北浦の漁港では,イワシ,アジ,サバ漁のほかハマチの養殖などが行なわれる。なかでも北浦のイワシ漁獲高は県有数。市街地付近には国指定史跡の南方古墳群が点在する。西端にある比叡山は国指定の名勝。高島のビロウ自生地,古江のキンモクセイ,祝子川モウソウキンメイ竹林は国の天然記念物に指定。北東部のリアス海岸をなす南北浦海岸は日豊海岸国定公園に,中部の行縢山,西部の大崩山,鉾岳などは祖母傾国定公園に属する。JR日豊本線,国道10号線,218号線,326号線,388号線が通る。面積 868.02km2。人口 11万8394(2020)。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by