表門神社(読み)うわとじんじや

日本歴史地名大系 「表門神社」の解説

表門神社
うわとじんじや

[現在地名]三珠町上野

笛吹川の南の曾根そね丘陵西縁台地に鎮座祭神は倉稲魂命・天照大神・瓊瓊杵尊。旧郷社。近世まで御崎みさき明神と称し、御崎神社ともいった。また社蔵の白河院ゆかりと伝える文殊画像に対する信仰から市川文殊いちかわもんじゆ(お文殊さん)と通称された。慶応四年(一八六八)の社記明細書(社記)では表門神社と記される。勧請時期は不明だが、孝霊天皇二年の鎮座といい、「延喜式」神名帳に記載される八代郡表門神社とされる(甲斐国志)。「甲陽軍鑑」巻八に、市川文殊堂に籠っていた十日市場とおかいちば(現若草町)の半俗徳厳が、夢想で文殊から八卦を伝授され、それをうたい文句に国内で占いをして回り、長坂釣閑斎に取入って武田家に出入りしようとしたが、信玄に退けられたという話が載る。しかし中世における実態や、武田氏との関係については不明な点が多い。永禄三年(一五六〇)八月二五日の武田信玄社中条目写(甲州古文書)に「市川之御崎」とみえ、武田たけだ八幡宮(現韮崎市)や甲斐国一宮(現一宮町浅間神社)など有力九社とともに府中八幡宮への勤番を免除され、替りに社頭参籠安泰の祈祷が命じられている。なお武田氏滅亡後の慶長一〇年(一六〇五)一一月三日に、徳川家康によって再編成された府中八幡宮への勤番制度においても、この原則が確認されている(徳川家奉行連署社中条目「上府中八幡社朱印証文並請書」甲州文庫)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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