アメリカ映画。1948年作品。ジュールス・ダッシン監督。「セミドキュメンタリー」という言葉を生んだ、戦後の新しいアメリカ映画の一本。若い女性モデルの殺人事件を追う刑事たちの地道な活動が、現実の暑い夏のニューヨークを背景に描かれる。現地ニューヨークで大々的にロケが行われ、警察の捜査と並行して映し出される市民の生活ぶり、日常の街の情景、そして背後に流れるナレーションが、ニュース映画のような感覚を見る者に与えた。とくにウィリアムズバーグ・ブリッジに行き着く最後のチェイスシーンは圧巻で、ロケーション撮影を生かした刑事ものとして、のちの『ブリット』(1968)や『フレンチ・コネクション』(1971)などに影響を与えた。名カメラマンのウィリアム・ダニエルズWilliam Daniels(1901―1970)がアカデミー撮影賞を受賞。また本作は、ジャーナリストからプロデューサーに転じたマーク・ヘリンジャーMark Hellinger(1903―1947)の最後の作品となった。
[宮本高晴]
…その最初の作品がドイツのスパイとFBIにバックアップされた逆スパイの戦い,情報合戦を描くヘンリー・ハザウェー監督の《Gメン対間諜》(1945)で,特定の家に出入りする人物たちを隠しカメラで撮ったような画面が実感と迫力十分で新鮮な印象を与え,以来このスタイルが1940年代後半に大流行をもたらした。エリア・カザン監督の《影なき殺人》(1947),ヘンリー・ハザウェー監督の《出獄》(1948)はいずれも犯罪容疑者の無実立証までの社会派ドラマであり,そうした頂点がジュールス・ダッシン監督の《裸の町》(1948)で,ニューヨークでオール・ロケされた。徹底的な盗み撮りで撮られた大都会の街頭は,セットやエキストラでは得られぬ生命力と現実感をもち,最後に追いつめられた犯人が橋の頂上に逃げのぼり,はるか脚下のテニスコートに遊ぶ人々が視界に入るカットの生々しさは,セミ・ドキュメンタリーの方法が単なる奇をてらった際物ではない可能性を示し,世界の映画に大きな影響を与えた。…
※「裸の町」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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