日本大百科全書(ニッポニカ) 「西有田」の意味・わかりやすい解説
西有田
にしありた
佐賀県西端、西松浦(にしまつうら)郡にあった旧町名(西有田町(ちょう))。現在は有田町の北部と西部を占める地域。長崎県佐世保(させぼ)市に接する。旧西有田町は、1965年(昭和40)町制施行。2006年(平成18)有田町(まち)と合併して新しく有田町(ちょう)となった。伊万里(いまり)湾に注ぐ有田川が地域の中央部を北流し、これに沿って、松浦鉄道、国道202号が通じ、北西部を国道498号が走る。西の県境には、玄武岩の八天(はってん)岳(707メートル)など国見(くにみ)山系が南北に連なるが、国見トンネルが1977年(昭和52)開通し、佐世保―福岡間の道路交通の主要幹線となった。第三紀層や沖積層が広がり、米作のほか肉用牛、鶏などの畜産が目だち、ミカン、ブドウほか複合経営が進む。干害に悩み、竜門(りゅうもん)ダムなどができる。古窯跡が点在し、広瀬(ひろせ)山などに陶磁器工場が立地。南端の国道35号近くに深川(ふかがわ)製磁、岩尾磁器工業など旧有田町の企業進出が目だつ。縄文遺跡に富み、坂の下遺跡(さかのしたいせき)から採取したアラカシの実が発芽成育し脚光を浴びる。東端に黒髪山県立自然公園(くろかみやまけんりつしぜんこうえん)がある。
[川崎 茂]
『『西有田町史』全4冊(1986~1988・西有田町)』