日本大百科全書(ニッポニカ) 「アラカシ」の意味・わかりやすい解説
アラカシ
あらかし / 粗樫
[学] Quercus glauca Thunb.
ブナ科(APG分類:ブナ科)の常緑高木で、高さ15メートルに達する。萌芽(ほうが)力が強く株立ちになりやすい。樹皮は灰黒緑色で若木では平滑。新枝は淡緑紫色で褐色毛を密生する。葉は倒卵状長楕円(ちょうだえん)形、長さ6~12センチメートルで革質、側脈は直線状に斜上し、上半部で5~7個の大形の鋸歯(きょし)に終わる。裏面は灰青色で伏毛がある。5月ごろ雌雄の花序が新枝につき、当年の10月に堅果が熟す。宮城県以南に分布し、常緑カシ類中もっとも普遍的で、岩石地でもよく乾燥に耐えるため、関西地方では庭木などに用いられる。
[萩原信介 2020年1月21日]