見せ金(読み)ミセガネ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「見せ金」の意味・わかりやすい解説

見せ金
みせがね

株式会社の発起人第三者より株式払込みの資金を借り入れ、それを払い込んで会社を成立させたのちに、払い戻した会社資金を発起人個人の借入金返済にあてることをいう。すなわち、このような一連行為仮装の株式払込みの方法としてなされている場合が、見せ金として問題になる。預合(あずけあい)に近い見せ金としては、払込取扱機関たる銀行から発起人が払込資金を借り入れ、会社成立後、払込金を引き戻し、発起人が自己債務弁済として払込取扱銀行に返済する場合がある。このような仮装の株式払込みは無効とされるのである。

[永井和之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「見せ金」の意味・わかりやすい解説

見せ金
みせがね

株式会社設立,または募集株式の発行に関する預合いの脱法行為の一種。資本払込の際に第三者または払込取扱銀行から発起人が払込資金を借り入れ,会社成立後多くの日を経ずにほとんどの払込金を払い戻し,自己の債務の弁済として第三者または払込取扱銀行に支払うことをいう。判例や多くの学説は,このような見せ金は全体としてみる場合,仮装の株式払込として無効であると解している。しかし,預合いについての刑罰規定 (預合いの罪。会社法965) の適用はなく,また払込取扱銀行の保管証明責任(64条2項)などは,一般的にはその適用が否定されている。

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