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仮装 カソウ

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デジタル大辞泉の解説

か‐そう〔‐サウ〕【仮装】

[名](スル)
仮に他のものの姿をすること。それらしく見せかけること。
「其(その)強硬な態度の何処かに何時でも―に近い弱点があるのを」〈漱石道草
仮に装備して別のものにすること。「仮装空母」
その出来事が事実あったかのように見せかけること。「仮装売買」

出典|小学館
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世界大百科事典 第2版の解説

かそう【仮装】

仮装とは本来,ある人間が衣装(仮面や身体装飾も含む)をつけることによって他のものに扮することである。日本各地に見られる神楽もやはり仮装によって行われているが,この場合には神話上の人物とか超自然的存在とかがこの仮装の対象になっている。また秋田県男鹿半島なまはげや石川県輪島の御陣乗太鼓でも仮面を主とした仮装が行われており,これは超自然的存在を表現している。 このような仮装はいずれも,共同体のなかで伝統的に,しかも時期を定めて行われてきたものであって,われわれが行事や踊りとして外から見ているのとは基本的に異なる,その共同体独自の意味を表現している。

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大辞林 第三版の解説

かそう【仮装】

( 名 ) スル
仮にほかの物の姿をすること。また、そのよそおい。 「 -して町に出る」 「 -舞踏会」
仮のよそおい・装備で別なものにすること。 「 -空母」

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

仮装
かそう

仮面をつけたり、扮装(ふんそう)などを施して仮にある姿を装うこと。その起源は呪術(じゅじゅつ)的・宗教的儀礼に発するといわれ、古くは旧石器時代の南フランスの洞窟(どうくつ)壁画に魔法使い扮するトナカイの画(え)が描かれている。このような儀礼に伴う呪術的な仮装の風習は、今日でも散見される。その目的と方法はさまざまであるが、たとえば、北米先住民は、野牛など獲物となる扮装をした者を取り囲み、群舞しながら、その獲物役の者を殺すまねをして狩りの豊饒(ほうじょう)を願う予祝(よしゅく)儀礼を行う。またトウェワ人のように、先住民の象徴であり呪力を有するとされているワシに扮する踊りを伝えている部族もある。ニューギニアのアベラム人は、成年式をはじめさまざまな儀礼にグワルンズという氏族の精霊を表す像をつくるが、ときには部族の者が頭に羽根でつくった巨大な飾りをつけ、顔を金色に塗ってグワルンズに扮する。西アフリカのナイジェリアの村では、葬式や祭礼のおりに死者の世界や祖先の到来を示す仮装が行われるが、南米先住民のティクナ人のように、想像上の動物を表した仮面つき装束を通過儀礼に用いる部族もある。これら悪魔退散や神霊との交信を目的とする呪術的な仮装は、一方ではギリシア悲劇のような演劇形態へと発展していき、一方ではカーニバルのような熱狂的な祭りに受け継がれていった。日本では日本武尊(やまとたけるのみこと)が少女に姿を変えて熊襲(くまそ)を討伐したようすが『日本書紀』に記されているが、女装はのちに歌舞伎(かぶき)の大きな特色となった。日本芸能には仮面・扮装を用いて神・仏・動物・鳥などを表すものがたいへん多く、そのなかには東北地方の鹿踊(ししおどり)のように、もともとは古代の狩猟生活に発したと思われるような芸能が今日なお伝えられている。[高山 茂]
 あらゆる人間社会において、身体にまとうさまざまな要素は、主体の社会的地位、役割や美的次元などの単なる実用的機能を超えた意味を付与されており、装いの変化は主体のペルソナ(人格=仮面)の変化をも暗示することになる。装いの変換に伴う「自己」から「他者」への移行の過程において特定の目的や意図が強調される場合(隠密など)にこれを変装とよび、儀礼的な側面が強調される場合(巡礼など)にこれを仮装とよんでいる。つまり、仮装の場合には、明らかにそこが非日常的な状況とわかるような枠組みが前提とされなければならない。たとえば、ニューギニア高地に住むイアトムル人の社会には、ナーベンとよばれる儀礼が存在するが、そこでは異性装(男性が女装し、女性が男装すること)がみられる。女装した男性は、もっとも下品で不潔な未亡人の喪服を身にまとい、顔や手足に人目をひく化粧を施し、女性用の杖をつきながら老女のしぐさを大げさに演じてみせる。ナーベンは、現実の社会関係を反転させることで、社会構造がはらむ矛盾を儀礼的に解消する機能をもつが、仮装は、そうした文化的装置が機能するための不可欠な契機となっている。
 また、ヨーロッパの伝統的カーニバルでは、異性装、動物装、異形装(想像上の怪物や道化の扮装をすること)、異階装(社会的身分を逆転させた扮装をすること)などがみられた。仮装の内容には多くのバリエーションがあるが、いずれの場合も、日常を構成するさまざまな階層的秩序(男/女、人間/動物、文化/自然など)を逆転あるいは無効にする重要な契機となっている。人間は、祝祭的空間のなかで、仮装を通じて非日常的で超現実的な存在になるのである。こうした仮装のもつ逸脱性は、たとえば「ええじゃないか」(異性装、踊り姿、半裸姿などがみられた)にみられるように、ときとして所与の文化的枠組みを超え、民衆運動の口火を切る契機となることさえある。
 最後に、仮装はあらゆる人間社会にみられる現象であるが、近代化の進行とともにその象徴的厚みを失いつつあるという事実も認識する必要があると思われる。[土佐昌樹]
『坂部恵著『仮面の解釈学』(1976・東京大学出版会) ▽桜井徳太郎他著『変身』(1974・弘文堂)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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世界大百科事典内の仮装の言及

【稚児】より

…稚児に選ばれる年齢の子どもはこうして神のもの(社会の外部)でもなければ,おとなの社会(制度の内側)にも完全には属さない〈中間性〉を帯びるようになる。稚児が大地との結びつきを象徴的に絶たれたり(乗馬,肩車),生理を隠して美的に昇華されたり(仮装)することには,この〈中間性〉が表現され,稚児は神霊界のものでありながら同時にこちらの世界にも現れているという天使的な位置づけを得るようになる。稚児は重力から解き放たれているかのように軽やかで,しかも美しく演出されなければならない。…

【変装】より

…〉とある)。 また近年では文化人類学,民俗学,演劇学,国文学,歴史学等の分野で,人間文化のさまざまな局面にあらわれる,象徴的な衣装の変更という現象一般を指して,〈変装〉(あるいはほぼ同じ意味で〈仮装〉〈異装〉)と呼ぶことが普通に行われている。したがってここでは,〈変装〉という言葉自体がもつニュアンスと時代的な限定性から離れて,一般的かつ原理的に,しばしば歴史的にも重大な意味を担っている,一種の文化現象あるいは社会現象としての変装という行為について,以下考察を加えることとしたい。…

※「仮装」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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