詞八衢(読み)コトバノヤチマタ

デジタル大辞泉 「詞八衢」の意味・読み・例文・類語

ことばのやちまた【詞八衢】

江戸中期の語学書。2巻。本居春庭もとおりはるにわ著。文化5年(1808)刊。動詞活用種類活用形整備、活用形と「てにをは」との接続を説明したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「詞八衢」の意味・読み・例文・類語

ことばのやちまた【詞八衢】

  1. 江戸中期の語学書。二巻。本居春庭著。文化三年(一八〇六成立、同五年刊。動詞の活用の型を七種、活用形を五段に整理し、活用形と「てにをは」との接続を研究した。活用研究で、祖述者を八衢派というほど影響が大きい。やちまた。

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改訂新版 世界大百科事典 「詞八衢」の意味・わかりやすい解説

詞八衢 (ことばのやちまた)

本居春庭(もとおりはるにわ)による古語の研究書。1806年(文化3)成立。動詞の活用の種類を簡明に総括し活用を体系づけた国語学史上画期的な書である。活用の型に四段,下二段,中二段(上二段),一段(上一段)の4種とカ変,サ変,ナ変をたて,名称は見られないが,命令形を除く五つの活用形を設けて,所属する語を可能なかぎり掲げ,接続する辞を厳選して付している。この体系は,近代の文法学説にも受け継がれている。春庭はさらに,この書の学習法をふくむ語法論《詞通路(ことばのかよいじ)》を28年(文政11)に完成させた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「詞八衢」の意味・わかりやすい解説

詞八衢
ことばのやちまた

本居春庭著。2冊。文化3 (1806) 年成立。同5年刊。活用の研究書。活用の種類を,四段,一段 (いまの上一段) ,中二段 (上二段) ,下二段,カ変,サ変,ナ変とし,おのおの5つの活用形 (いまの命令形にあたるものは表になし) を設定して,それぞれに接続するテニヲハをあげている。五十音図に基づいて組織的に整理した,活用研究史上画期的なもので,のちに「八衢派」を生むことになった。また,学校文法の活用表の基礎本書によってつくられたといえる。

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世界大百科事典(旧版)内の詞八衢の言及

【国語学】より

…すなわち,彼は,活用形を1等から7等までに分けて,これを図示した。本居春庭は,これを,さらに今日の六つに減じ,活用の種類を,五十音図の段によって整理した(《詞八衢(ことばのやちまた)》)。今日説くところの四段活用,二段活用,一段活用および変格活用の分類は,彼によってほぼその根幹が形づくられ,このような命名も,彼にさかのぼる。…

※「詞八衢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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