最新 心理学事典 「認知スタイル」の解説
にんちスタイル
認知スタイル
cognitive style
【場依存性-場独立性field dependence-independence】 このアプローチは,第2次世界大戦後のアメリカにおけるゲシュタルト心理学運動の影響を受けた知覚の個人差研究の中で始まった。知覚的な場の中で,その知覚的場の影響を受けずに特定の要素を分析的に抽出できる者が場独立的field independent,逆にその知覚的場の影響を大きく受けやすい者が場依存的field dependentであるとする。棒-枠組み検査rod and frame test(RFT)は,暗室の中で蛍光色に光る傾斜した枠の中心に置かれた蛍光色の棒を,自分の身体的な重力方向の手がかりをもとに,傾斜した枠組みにとらわれずに,垂直に調整できるかを測定する。埋没図形検査embedded figures test(EFT)は,ゴッチャルト図形Gottschaldt figuresとよばれる複雑な図形の中に隠されている特定の単純図形を探し出す検査で,場依存的な者はそれを探し出すのに多くの時間を要する。場独立的な者はあまり時間を要さない。
【熟慮性-衝動性reflection-impulsivity】 正確さとスピードが両立しにくい認知的課題においては,個人の認知的遂行の好みや価値観といったものが,課題解決のやり方に大きく影響する。そして,遂行のスピードより正確さといった課題遂行の質を重視し,詳細な視覚的分析を重視する者が熟慮的reflective,遂行の質よりスピードを重視するために大まかな視覚的分析で課題遂行する者が衝動的impulsiveであるとする。同画探索検査matching familiar figures test(MFFT)は,ごく一部の細部が異なる選択肢の絵の中から,見本の絵と同一の絵を探し出す検査であるが,途中で間違えてもよく,正答が見つかるまで課題の遂行が求められる。最初の答えを出すまでに要した反応時間の平均(反応潜時)と,正答が見つかるまでに行なったお手つき数の合計数(総誤数)が,測定指標として使われる。この検査の得点において,日本の幼児・児童は,アメリカやイスラエルの幼児・児童を年齢にして2歳早めたような特異な発達曲線を示す(Salkind,N.J.,Kojima,H.,& Zelniker,T.,1997)。 →認知
〔宮川 充司〕
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