日本大百科全書(ニッポニカ) 「説文通訓定声」の意味・わかりやすい解説
説文通訓定声
せつもんつうくんていせい
中国の字書。18巻。朱駿声(しゅしゅんせい)(1788―1858)撰(せん)。1833年(道光13)成書、1870年(同治9)刊行。漢の許慎(きょしん)の著『説文解字』に偏旁(へんぼう)分類により収められた9000余の漢字を、清(しん)朝考証学の成果として明らかとなった古音(先秦(せんしん)時代の中国語音)の分類により改めて18の部に分け、各部の内部では声符(漢字の「つくり」、たとえば「紅」「江」「空」における「工」)を同じくする形声文字をまとめて配列した。これが書名にいう「定声」にあたる。各字の下には『説文解字』の注解を引用してその字の本義を示すほかに、本義から派生した引申義(著者はこれを「転注」という)および仮借(かしゃ)の用法を、古典を豊富に引用しつつ詳しく載せる。これが書名にいう「通訓」である。字形、字音、字義の由来とそれら相互の関連を示す書物として、今日でも参照する価値の大きいものである。
[平山久雄]