許慎(読み)キョシン(その他表記)Xǔ Shèn

デジタル大辞泉 「許慎」の意味・読み・例文・類語

きょ‐しん【許慎】

中国後漢学者。召陵(河南省)の人。あざなは叔重。経書に通じ、儒教経典の諸解釈比較検討した「五経異義」や、中国文字学の基をなす「説文解字」を著した。生没年未詳。

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精選版 日本国語大辞典 「許慎」の意味・読み・例文・類語

きょ‐しん【許慎】

  1. 中国、後漢の学者。字(あざな)は叔重。河南召陵の人。若いころから経籍を学び、賈逵(かき)に従って古文の学を修得、五経無双といわれた。著書「説文解字」「五経異義」など。生没年未詳。

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改訂新版 世界大百科事典 「許慎」の意味・わかりやすい解説

許慎 (きょしん)
Xǔ Shèn

中国,後漢の経学者,文字学者。生没年不明。字は叔重(しゆくじゆう)。汝南召陵(河南省郾城)の人。太尉南閣祭酒,洨県の長などに任ぜられた。賈逵(かき)について古文経学を修め,〈五経無双の許叔重〉といわれた。著書に《五経異義》10巻があるが,すでに滅んだ。ただ同じ後漢の鄭玄(じようげん)に《駁五経異義》の著があり,これも滅んだが,許慎の説をあげて反駁する形をとっているため,逸文によって両者の説の一斑をうかがうことはできる。《説文解字》15編は,漢字字形からの分析を体系的に行った最古字書である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「許慎」の意味・わかりやすい解説

許慎
きょしん

生没年不詳。中国、後漢(ごかん)の学者。和帝(在位88~105)、安帝(在位106~125)の時代の人。字(あざな)は叔重(しゅくちょう)。汝南(じょなん)郡(河南省)出身。篤実な性格で、広く五経の学問に通じ、同時代の大儒馬融(ばゆう)から尊敬された。その著書『五経異義(ごきょういぎ)』は、五経についての異説を比較検討して定論をつくろうとしたもの。『説文解字(せつもんかいじ)』は文字を字形によって分類し、その意味構造とを説いたもの。いずれも後世の学問の発展に大きく寄与した。『後漢書(ごかんじょ)』儒林伝に略伝が収められるほか、『説文解字』序が伝記資料となる。

[頼 惟勤 2018年6月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「許慎」の意味・わかりやすい解説

許慎
きょしん
Xu Shen

中国,後漢の学者。汝南召陵 (河南省) の人。字は叔重。明帝から和帝頃まで官に仕えた。博学で,経学を修め,六書の意義を究明した。漢字の構造と意味を述べた『説文解字』は,中国文字学の先駆である。そのほか五経の解釈を述べた『五経異義』がある。

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世界大百科事典(旧版)内の許慎の言及

【説文解字】より

…中国で漢字の構成すなわち〈六書(りくしよ)〉に従ってその原義を論ずることを体系的に試みた最初の字書。後漢の許慎の著。〈後叙〉と呼ばれる序文1篇をあわせて全15編。…

【略字】より

…〈今の〉簡体字は,いわば国定という特定の略字のセットだが,簡体字をそういう〈固有名〉に限らないとすれば,簡体字すなわち略字として,漢字の歴史そのものが,次から次へと作られる簡体字の歴史であったといっていいのである。したがって古代の中国人たとえば《説文解字》の著者許慎なども,はじめに作られた文字は画数の多い〈古文〉であったが,のち文字によっては簡略化され,筆画の少なくなったものが出て来て〈古文〉とは形がちがってくる。それが〈大篆(だいてん)〉あるいは〈籀文(ちゆうぶん)〉であり,日常業務の要求から簡略化が進み〈籀文〉からさえも離れてきたとき,それが〈小篆〉になった,と考えたのである。…

※「許慎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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