説草(読み)せっそう

精選版 日本国語大辞典 「説草」の意味・読み・例文・類語

せっ‐そう‥サウ【説草】

  1. 〘 名詞 〙 仏語
  2. 法会などに際して読み上げ、また語るために整理した説教草稿の類。〔元和本下学集(1617)〕
  3. 死者追善供養するための法事。法会(ほうえ)法要。〔文明本節用集(室町中)〕
  4. 説くというあり方で現われる真実の事象
    1. [初出の実例]「この夢すなはち明明なる百艸なり、擬著せんとする正当なり、紛紜なる正当なり。このとき夢艸、中艸、説艸等なり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)夢中説夢)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「説草」の意味・わかりやすい解説

説草【せっそう】

(1)法事のこと。(2)法話唱導のための手控え。携帯に便利なように,一辺が十数cmの方形の小型の数葉からなる小冊子で,1冊に1話が普通で,多くても2,3話程度。永井義憲〔1914-〕が用語として提唱し,定着した。金沢文庫蔵の《観音利益集》は安居院(あぐい)の説草記の一部かとされ,45の観音霊験譚がそれぞれ2〜6葉の冊子となっている。

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