安居院(読み)アンゴイン

デジタル大辞泉 「安居院」の意味・読み・例文・類語

あんご‐いん〔‐ヰン〕【安居院】

奈良県高市郡明日香あすか村にある真言宗豊山派の寺。本元興寺もとがんごうじ塔頭たっちゅう寺院飛鳥寺あすかでら

あぐい〔アグヰ〕【安居院】

京都市上京区にあった寺。比叡山東塔竹林院の里坊さとぼう鎌倉時代聖覚しょうかくが居住した。

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精選版 日本国語大辞典 「安居院」の意味・読み・例文・類語

あんご‐いん‥ヰン【安居院】

  1. 奈良県高市郡明日香村にある真言宗豊山派の寺。日本最古の寺院、元興寺(がんごうじ)(俗に飛鳥寺)が移建後、その跡地に建てられた。本尊鞍作止利(くらつくりのとり)作と推定される釈迦如来飛鳥大仏)。

あぐいアグヰ【安居院】

  1. 京都市上京区前之町付近にあった比叡山東塔竹林院の里坊。鎌倉時代に説話の名人聖覚が居住し、安居院流本拠として栄えた。また、その里坊の地。

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改訂新版 世界大百科事典 「安居院」の意味・わかりやすい解説

安居院 (あぐい)

京都の廃絶寺院の名。京都市上京区大宮通上立売の北にあった。もと比叡山竹林院の里坊。その開基澄憲始祖とする説経師が根拠地としたので,この系統の説経を安居院流という。澄憲は比叡山で檀那流の天台教学を修め,学識弁舌の才で知られ,大僧都,法印に叙せられたが安居院に退去し,華麗な表現の表白諷誦文(ひようびやくふじゆもん)と機知に富んだ譬喩因縁譚(ひゆいんねんたん)を中心とした説経で人々の教化にあたり名声を博した。澄憲の第3子聖覚(1167-1235)がその風をつぎ,澄憲に劣らぬ学識と説経の巧みさをもって〈安居院の法印〉として同流の基礎を築いた。以後,隆承,憲実,憲基とその子孫が伝統をうけつぎ延暦寺門跡の院家となり,13世紀半ば(寛元年間)に興った三井寺派の定円の流の説経とならんで皇族貴庶の信仰をあつめた。その思想は天台,真言,浄土にわたるもので,俗人を対象としながらも独自の教義を形成した。説話集神道集》は安居院作と記してあるが確証はない。安居院流は室町時代まで栄えたが,応仁の乱で寺坊が焼失し,廃絶した。
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百科事典マイペディア 「安居院」の意味・わかりやすい解説

安居院【あぐい】

比叡山東塔竹林院の里坊(さとぼう)。現在の京都市上京区大宮通上立売北にあった。平安時代末期からここを根拠地として澄憲・聖覚父子が説教を行い,安居院流という唱導の代表的な一流をなした。延暦寺門跡の院家として朝廷・貴族・武家との結び付きを強めて栄えたが,応仁・文明の乱で焼けた後は再興されなかった。
→関連項目狂言綺語源氏供養神道集説草表白

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「安居院」の意味・わかりやすい解説

安居院
あんごいん

奈良県明日香(あすか)村にある寺。本元興寺(もとがんごうじ)の塔頭(たっちゅう)寺院。夏安居(げあんご)のための塔頭であったが、本元興寺の衰亡とともにこの建物のみ残存している。堂内の丈六釈迦如来坐像(しゃかにょらいざぞう)により飛鳥(あすか)大仏また飛鳥寺ともよばれる。

[里道徳雄]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「安居院」の解説

安居院
あんごいん

飛鳥寺(あすかでら)

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旺文社日本史事典 三訂版 「安居院」の解説

安居院
あんごいん

飛鳥寺

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世界大百科事典(旧版)内の安居院の言及

【飛鳥寺】より

…飛鳥にとどまった旧寺は一時衰えたが,9世紀初頭には再興され,837年(承和4)災異消除のために読経等の仏事を修せしめられた20ヵ寺の中に〈本元興寺〉の名が見え,これより元興寺と並称されるようになった。ところが1196年(建久7)雷火で焼失の後,急速に衰微し,現在では〈安居院〉と呼ぶ仮堂に本尊の〈飛鳥大仏〉を安置するのみである。【中井 真孝】
[遺構]
 1956,57年の奈良国立文化財研究所の発掘調査で,飛鳥大仏が旧中金堂の位置にあり,中金堂の南に塔,塔の東西に東西二つの金堂を配し,塔の南の中門から東西にのびる回廊が1塔3金堂の一郭をめぐり,回廊の北に講堂を配していることがわかった。…

※「安居院」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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