改訂新版 世界大百科事典 「警察通信」の意味・わかりやすい解説
警察通信 (けいさつつうしん)
警察の運営や組織的活動を効率的に行うために設けられた専用の通信網をいう。世界各国の警察通信は国情や警察の組織体制の相違により構成,規模に差異があるが,公衆通信網に劣らぬ機能を保有することはもちろん,公衆通信網にはない弾力的な管理運用体制を確保することが強く求められている。日本の警察通信のもっとも基盤的なものとしては,全国の警察機関相互間を結ぶ専用電話網と,パトカーや街を警らする警察官などの情報伝達手段となる超短波移動無線通信網を挙げることができる。また,コンピューターで集中管理されている指名手配,家出人手配情報や運転免許管理などをオンライン処理するためのデータ通信網や,指紋,写真,文書などを送受信するファクシミリ通信網も,全国に広く展開されている。さらに衛星通信の利用による機動的な通信の確保,あるいはテレビジョンなどの広帯域伝送への取組みも進められている。一方,警察機関への市民からの緊急通報制度として,110番通報が設けられているが,近年の広域犯罪の増加などに対応するため,当初警察署で受理していたものを都道府県本部の通信指令室で広域的に集中受理しパトカーなどへの通信指令を適切に行えるような整備も進められている。他方,国際的な警察通信として,日本を含む国際刑事警察機構(ICPO)加盟国間には,短波電信,テレックスや写真電送を行うICPO通信網が整備されている。
執筆者:岡崎 征
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報