護国之寺(読み)ごこくしじ

日本歴史地名大系 「護国之寺」の解説

護国之寺
ごこくしじ

[現在地名]岐阜市長良雄総

雄総おぶさ山の中腹にある。雄総山と号し、高野山真言宗。本尊は十一面観音で、おぶさ観音と通称される。「新撰美濃志」によれば、聖武天皇奈良東大寺の大仏造立を志し、行基を諸国に派遣して冶工を尋ね求めたところ、厚見あつみ日野ひのの郷に金王丸という童がおり、よい仏像をつくるので都に連帰り大仏を鋳造させた。この金王丸が「試みに鋳せし観世音千手ともあるひは十一面ともありの像」が当寺の本尊となったという。さらに「大仏成就供養の日、紫宸殿前庭に紫雲一叢覆ひ来りてひとつの仏鉢を降らし、雲中に声ありて、茲鉢は是釈尊御在世霊鷲山にて持給ひし仏鉢なるを、希有の大像供養の仏事を天感ありて降す所なり」という仏鉢が、金王丸に下賜されて寺の什物になったとの由来を記す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「護国之寺」の意味・わかりやすい解説

護国之寺
ごこくしじ

岐阜市にある高野山真言宗の寺。天平 18 (746) 年,聖武天皇の勅意を受けた行基が開基とされる。戦火天災等により荒れていたところを天正8 (1580) 年,良啓が再興。日野金王丸作と伝えられる本尊十一面千手観音にちなんで,一般に雄総 (おぶさ) 観音と呼ばれる。寺宝の『金銅獅子唐草文鉢』 (奈良時代) は,釈迦乞食行に際して実際に使用した鉢との言い伝えがあり,聖武天皇から賜わったものと伝えられ,国宝

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