財政破綻(はたん)の懸念があり、早期に財政再建に取り組まねばならない地方公共団体。2006年(平成18)の北海道夕張(ゆうばり)市の財政破綻を機に、2009年に全面施行された「地方財政健全化法」(平成19年法律第94号)に基づいて、総務省が毎年認定している。財政健全性の目安として、借金返済の重さを示す「実質公債費比率」、一般会計に占める赤字割合である「実質赤字比率」、水道や国民健康保険事業など公営事業を含む全会計に生じた赤字割合である「連結実質赤字比率」、公社や第三セクターを含めた将来負担する借金の大きさを示す「将来負担比率」の四つの指標を採用し、一つでも基準より悪いと財政健全化団体となる。なお、地方財政健全化法では、事実上財政が破綻したとして「レッドカード」を出された自治体を「財政再生団体」と認定しており、これに対し財政健全化団体(早期健全化団体)は、破綻予備軍として「イエローカード」を出された自治体といえる。
財政健全化の具体的基準は、実質公債費比率が25%、実質赤字比率では道府県の場合(東京都は別途設定)で3.75%、市区町村は財政規模に応じて11.25~15%、連結実質赤字比率は道府県(東京都は別途設定)で8.75%、市区町村では財政規模に応じて16.25~20%、将来負担比率は都道府県と政令市で400%、市区町村で350%である。基準を一つでも上回ると財政健全化団体となり、職員の給与削減、道路・水道・プールなどの公共サービスの利用料引上げなどで財政を再建する必要がある。外部機関による監査を受けねばならず、議会に財政健全化計画を提出して議決を受ける必要もある。財政健全化団体は2008年度決算時点で、北海道洞爺湖(とうやこ)町、大阪府泉佐野(いずみさの)市、沖縄県座間味(ざまみ)村など全国に21市町村あったが、2013年度決算時点で青森県大鰐(おおわに)町のみとなり、2014年度決算以降は、全国に財政健全化団体がない状態が続いている。
[矢野 武 2022年8月18日]
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