財政健全化(読み)ざいせいけんぜんか

共同通信ニュース用語解説 「財政健全化」の解説

財政健全化

日本は高齢化に伴う社会保障費増加などで財政が悪化し、国と地方の借金残高は1千兆円を超えた。政策経費税収などの基本的な収入でどの程度賄えているかを示す「基礎的財政収支」で、政府は国と地方の黒字化目標を2020年度から25年度に先送りした。しかし内閣府が7月に公表した試算では、高成長が続くと想定したケースでも25年度に7兆3千億円程度の赤字が残るとしている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「財政健全化」の意味・わかりやすい解説

財政健全化
ざいせいけんぜんか

国や地方公共団体などの公的部門が、歳入歳出の差である財政収支を改善し、借金(国債などの公債残高)を削減すること。ほぼ「財政再建」と同義語。大きく歳出削減と歳入増加の2手法がある。歳出削減では、公務員数削減などの公的部門のスリム化や、軍事防衛)費、公共事業費、社会保障費などの削減策がとられることが多い。歳入増加では、消費税をはじめ、所得税や法人税などの税収を増やす手法がとられる。単なる増税策だけでなく、アメリカのレーガン政権が採用した減税などによる景気てこ入れで、中長期的に法人税や所得税を増やす手法もある。毎会計年度の財政収支の改善だけでなく、中長期的な歳出の上限設定、計画的な増税策などで財政健全化に取り組むことが多い。国の財政健全化の指標として、歳出を借金でどれくらい穴埋めしているかを示す「公債依存度」、借金にまったく頼らずに税金と税外収入で社会保障や公共事業などの政策経費をどれだけまかなっているかを示す「プライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)」などがある。地方公共団体では、借金負担の重さを示す「実質公債費比率」や、一般会計に占める赤字割合である「実質赤字比率」などが目安となる。

 日本の財政は、1990年代のバブル経済崩壊後の相次ぐ経済対策、高齢化に伴う社会保障費の増大、東日本大震災被災地の復旧・復興施策や新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)対策による歳出膨張などで、国と地方をあわせた長期債務残高が2023年度(令和5)末で1285兆円に達し、国内総生産(GDP)に対する比率は215%と主要先進国中でもっとも高い。政府は2010年(平成22)の菅直人(かんなおと)政権時代に、財政健全化目標の指標としてPBを採用し、2020年度までに黒字化する目標を掲げた。経済成長による財政健全化を掲げる安倍晋三(あべしんぞう)政権も同目標を踏襲したが、消費税率引上げ時期の先送りなどで達成できず、2018年に、目標時期を2025年度へ先送りした。その後、企業業績の好転、物価高、円安などで税収が増えたことにより、2024年に、政府は2025年度にPBが34年ぶりに黒字化(黒字額は0.8兆円)するとの試算を示したが、経済対策など歳出が膨らみ、結局、4兆5000億円の赤字となった。2025年度以降も、出生減に伴う少子化対策費や子育て支援費、新たな防衛力整備費、温暖化対策(グリーントランスフォーメーション)費の増加、金利上昇による国債利払いの増大、政治不信に伴い、増税など国民の負担となる政策の回避などで、安定・継続的な財政健全化の道筋は見通せない状況にある。

[矢野 武 2025年4月15日]

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