貰・囉・餬(読み)もらう

精選版 日本国語大辞典 「貰・囉・餬」の意味・読み・例文・類語

もら・う もらふ【貰・囉・餬】

〘他ワ五(ハ四)〙 (動詞「もらう(守━)」からという)
[一] 他から何かを自分の身に受ける。
① 贈られたり請うたりして自分のものにする。物品や恩恵、許しなどを、与えられたり、願い出たりして自分のものとする。現在では、他からの通信を受ける意にもいう。
平家(13C前)三「片手には網うどに魚をもらうてもち」
※人さまざま(1921)〈正宗白鳥〉「昨年きりで暇を貰って」
② (餬) 特に、他人から食事などの世話を受ける。よその家の扶養を受ける。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
読本・春雨物語(1808)宮木が塚「人にやとはれ、ぬひ針とりて口はもらへど」
③ 人を迎え入れる。他家から嫁、婿、養子などを迎える。
※浮世草子・世間胸算用(1692)二「此方の娘を囉(モロ)ふてもくださるか」
④ 病気などをうつされる。
真理の春(1930)〈細田民樹たこ「社長から恐ろしい病気までもらったやうなことでして」
⑤ 争いなどを間に立ってあずかる。けんかなどの仲裁をする。
※俳諧・六百番誹諧発句合(1677)五七番「互に見所候へは一番もらひましてわれに仕候」
⑥ 遊里で、客についている遊女芸者を他の席に譲り受ける。
評判記・色道大鏡(1678)二「もらはれぬ時、其まま帰ると、かはりをとると二やうあり」
⑦ 勝ちを自分のものにする。勝負ごとに勝つ。
[二] 補助動詞として用いる。
① (動詞の連用形に助詞「て(で)」を添えた形に付き) 他人の好意により、または自分から依頼して行なわれた行為によって自分が利益を受ける、また、単に、依頼して行為をさせる意を表わす。
※虎明本狂言・仏師(室町末‐近世初)「よささうなお仏をつくってもらはふと存る」
② (動詞の連用形に助詞「て(で)」を添えた形に付き) 自分の好意により、または他人の依頼によって自分が行なった行為が他人に利益をもたらす意を表わす。
※真理の春(1930)〈細田民樹〉この歓び「夫の居所の解ったことを、家村に喜んでもらった」
③ (動詞の連用形に助詞「て(で)」を添えた形に付き) 他人の行なった行為によって自分が迷惑を受ける意を表わす。
夜行巡査(1895)〈泉鏡花〉四「お前にわけもなく断念(あきら)めて貰(モラ)った日にゃあ、吾が志も水の泡さ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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