買売春(読み)ばいばいしゅん

百科事典マイペディア 「買売春」の意味・わかりやすい解説

買売春【ばいばいしゅん】

金銭または経済的報酬と引替えに,不特定の相手と性行為をなすこと。男性が買い手,女性が売り手となるのがほとんどであるが,その逆がないわけではない。起源貨幣の誕生とともに古く,かつ宗教的・人類学的要因も大きかったと想定され,単純な経済行為に還元したり近代的倫理で一方的に断罪することはできない。しかし資本主義成立以後の背景には貧富の差や性差別,さらには人種差別などさまざまな問題が伏在していることが確実である。日本では《万葉集》に記述のある遊行女婦(うかれめ)から白拍子(しらびょうし),湯女(ゆな)などに至るまでさまざまな形の売春が存在した。やがて豊臣秀吉や江戸幕府が遊女を一ヵ所に集め管理する公娼制を採ったことにより遊郭が生まれ,芸能などが発達する一方,人身売買や管理売春が強化された。1872年マリア・ルース号事件を契機に芸娼妓解放が実施され(娼妓解放令),公娼制度はひとまず廃止されたが,実質的には貸座敷の名で復活した。1899年には名古屋東雲(しののめ)楼娼妓によるストライキが行われたが,司法は自由廃業を認めつつも前借金返済を命じ,廃娼運動の徹底は容易ではなかった。1957年売春防止法が施行され,売春婦を保護更生の対象として扱い,管理売春,資金提供等売春助長行為を厳罰に付す方針になったが,売春を根絶することはできず,特殊浴場テレクラ,買春ツアーなど新しい風俗で擬装した買売春営業が次々に出現し,買売春者の低年齢化やエイズ拡大など深刻な問題をひきおこしている。〈援助交際〉などを規制するために,1999年には〈児童買春児童ポルノ禁止法〉が制定された。
→関連項目赤線・青線性暴力

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