賀茂保憲女(読み)かものやすのりのむすめ

精選版 日本国語大辞典 「賀茂保憲女」の意味・読み・例文・類語

かも‐の‐やすのりのむすめ【賀茂保憲女】

  1. 平安中期の女流歌人賀茂保憲の娘。正暦四年(九九三)頃、疱瘡(ほうそう)で死んだと伝えられる。歌は「風雅集」「新続古今集」に見え、病中、「賀茂女集」が編まれた。長文の序に盛られた社会批判や人間論は出色のものとされ、歌風は新鮮で、するどい心理描写が特色生没年未詳。

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百科事典マイペディア 「賀茂保憲女」の意味・わかりやすい解説

賀茂保憲女【かものやすのりのむすめ】

平安中期,10世紀後半の歌人。生没年不詳。慶滋保胤(よししげのやすたね)の姪。自撰家集に《賀茂保憲女集》があり,勅撰集にも《拾遺和歌集》《新古今和歌集》に〈よみ人知らず〉で1首ずつ,《風雅和歌集》以下に3首入集する。家集には長文の序が付されており,疱瘡の病中に編纂(へんさん)した経緯や,不幸な身の上和歌で慰めた経験が日記随筆的に綴られている。またこの序文に説かれた風土民族についての和漢の比較は斬新で注目される。

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朝日日本歴史人物事典 「賀茂保憲女」の解説

賀茂保憲女

生年:生没年不詳
平安中期の歌人。10世紀の陰陽家賀茂保憲の娘で,『賀茂保憲女集』(別名『鴨女集』)の作者としてのみ知られる。この家集は序文と四季,恋,雑に部立された短歌,長歌から成り,長大な序文にはひどい疱瘡を病んだ自らの不幸な人生を自照し,それを和歌に昇華させていった経緯が,和歌的修辞対句を用いた文体で連綿と綴られている。家集の序ではあるが,むしろ日記,随筆の類として位置づけられるべきであろう。宮廷や権門の歌壇と無縁に生き,独特の社会観,芸術観を持ち,伝統的な型にはまりきらぬ個性的な歌作を残した。詠歌に「年毎に人はやらへど目に見えぬ心の鬼はゆくかたもなし」などがある。<参考文献>岡一男『古典の再評価』

(中周子)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「賀茂保憲女」の解説

賀茂保憲女 かもの-やすのりの-むすめ

?-? 平安時代中期の歌人。
慶滋保胤(よししげの-やすたね)の姪(めい)。家集「賀茂保憲女集」は「鴨女集」「賀茂女集」ともいわれ,正暦(しょうりゃく)4年(993)または長徳4年(998)ごろの成立で,長文の序と四季・恋・雑の部からなり,短歌209首,長歌1首がおさめられている。

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