( 1 )文語文法において唯一の下一段活用動詞とされるが、平安時代の用例が少なく、不明な点も多い。和文における表記は「ける」が多いが、「観智院本名義抄」をはじめ、院政期鎌倉期において「クヱル」「化ル」等の表記もみられるところから、上代のワ行下二段活用「くう(蹴)」の未然・連用形「くゑ」が合拗音化して下一段活用の「く(ゑ)る」に変わり(その前に「くゑる」の語形を推定する考えもある)、さらにそれが直音化して「ける」になったものと推測される。
( 2 )江戸中期までは「けら」「けり」等の用例がないところから、四段活用の「ける」が登場するのはそれ以降と考えられる。→くう(蹴)・くえる(蹴)

・蹙tziukは同声。また縮shiuk、肅(粛)siukは声近く、蹴にはその両義を含む。
・
sjiukも、にわかに動作する蹴と、関係のある語である。
▶・蹴鞠▶・蹴毬▶・蹴砕▶・蹴爾▶・蹴蹴▶・蹴然▶・蹴蹈▶・蹴踏▶出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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