転倒温度計(読み)テントウオンドケイ(その他表記)reversing thermometer

デジタル大辞泉 「転倒温度計」の意味・読み・例文・類語

てんとう‐おんどけい〔テンタウヲンドケイ〕【転倒温度計】

主に海水中温度を測定するのに用いられる温度計目的の深さで温度計を転倒させ、水中から引き上げたときに目盛りが転倒時の水温を示すようにしたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「転倒温度計」の意味・読み・例文・類語

てんとう‐おんどけいテンタウヲンドケイ【転倒温度計】

  1. 〘 名詞 〙 海洋観測器具の一つ上下逆にすると水銀柱が切れて、その時の示度を保つように工夫された水温計。任意の深さの水温を測定するとき、目的の深さで上下を転倒させて用いる。

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改訂新版 世界大百科事典 「転倒温度計」の意味・わかりやすい解説

転倒温度計 (てんとうおんどけい)
reversing thermometer

180度転回させると水銀柱が切れてそのときの示度を保持する特殊な温度計で,海洋などで水中の温度を測定するのに使用される。水圧が示度に変化を及ぼす被圧式と,そうでない防圧式があり,通常,被圧式と防圧式を同時に使用し,温度と深度を求める。被圧式では水圧に相当した分だけ,示度が余分に上昇するため,防圧式との差から水圧を求め,水圧から深度を算出する。分解能は1/100℃で0.5%ほどの精度で深度が算出できる。1本のワイヤに連装した転倒採水器にとりつけ,10層以上の各層を同時に観測することが多い。製作に高度の技術を要し,新田次郎短編小説《ガラスと水銀》(1957)にとり上げられている。
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百科事典マイペディア 「転倒温度計」の意味・わかりやすい解説

転倒温度計【てんとうおんどけい】

海洋や湖沼などで水中深い層の水温を測るのに用いる特殊な温度計。目的の深さまで降ろし,5分ぐらい放置したのち船上からケーブル沿いにメッセンジャー(使錘)を落下させ温度計を転倒させて引き上げる。転倒させると水銀柱が切れ水温示度が保持されたまま引き上げられる。採水器と組み合わせてある場合が多い。
→関連項目海洋測器

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「転倒温度計」の意味・わかりやすい解説

転倒温度計
てんとうおんどけい
reversing thermometer

湖沼や海水の温度をはかるためにつくられた特殊な温度計。転倒採水器または専用の枠に取付けて用いられ,水中のある深さに降ろして,その深さで転倒させると水銀糸が切れて,温度計を引上げたのちまでも,転倒させた深さの水温が保てるように工夫されている。

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