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益川敏英 ますかわとしひで

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

益川敏英
ますかわとしひで

[生]1940.2.7. 愛知,名古屋
理論物理学者。1962年名古屋大学理学部を卒業,1967年同大学博士課程を修了後,同大学助手,京都大学助手,東京大学原子研究所助教授を経て,1980年京大基礎物理学研究所教授に就任。その後,同大学理学部教授,同大学基礎物理学研究所長を歴任し,2003年から京都産業大学教授。名古屋大学では,湯川秀樹の一番弟子であった坂田昌一素粒子理論を学ぶ。京大助手を務めていた 1973年,助手の小林誠と共同研究した「小林・益川理論」で,当時三つまでしか確証がなかったクォークが少なくとも六つあれば「CP対称性の破れ」を説明することができることを示した(→CP対称性)。この現象は 1964年に,ジェームズ・W.クローニン,バル・L.フィッチが K中間子の崩壊現象から発見,荷電共役変換空間反転の二つの操作で「世界は対称である」ということが厳密には成り立っていないことを示し,大きな謎となっていた。1994年に六つ目のトップクォークが見つかり,2001年にはこの理論の正しさが実証された。2008年,この業績により小林とともに,また素粒子理論の基礎を築いた南部陽一郎ノーベル物理学賞を受賞。同年文化勲章も受章した。(→弱い相互作用

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デジタル大辞泉の解説

ますかわ‐としひで〔ますかは‐〕【益川敏英】

[1940~ ]物理学者。愛知の生まれ。昭和48年(1973)、小林誠と共同で「小林益川理論」を発表。基本粒子クオークが6種類以上存在すれば、宇宙の成り立ちにかかわる「CP対称性の破れ」の現象を理論的に説明できることを示した。平成13年(2001)文化功労者。平成20年(2008)、ノーベル物理学賞受賞。同年、文化勲章受章。

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百科事典マイペディアの解説

益川敏英【ますかわとしひで】

物理学者。名古屋大学で坂田昌一らに学ぶ。素粒子論の分野で,小林・益川理論を提唱,クォークが3世代6種類以上存在することを理論的に説明,その後この理論は実験で検証された。
→関連項目小林誠ノーベル賞

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

益川敏英 ますかわ-としひで

1940- 昭和後期-平成時代の物理学者。
昭和15年2月7日生まれ。55年京大教授となり,平成7年同大基礎物理学研究所長。のち京都産業大教授。昭和48年小林誠とともに六元クォーク模型を提唱。この共同研究で,54年仁科記念賞,60年学士院賞。平成13年文化功労者。20年「クォークが三世代以上あることを予言する対称性の破れの起源の発見」で小林誠とともにノーベル物理学賞。同年文化勲章。22年学士院会員。愛知県出身。名大卒。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

益川敏英
ますかわとしひで
(1940― )

素粒子理論物理学者。愛知県名古屋市生まれ。1962年(昭和37)、名古屋大学理学部卒業。1967年に名大大学院理学研究科を修了して理学博士。名大理学部助手、京都大学理学部助手を経て、1976年に東京大学原子核研究所助教授。1980年、京大基礎物理学研究所教授。1990年(平成2)、京大理学部教授。1997年に京大基礎物理学研究所教授、1997年から2003年まで所長を務める。2003年から京都産業大学教授。
 名古屋大学理学部で素粒子理論を研究していた坂田昌一(しょういち)の門下。京都大学助手のころ、粒子と、反粒子とでは、姿形は同じでも壊れ方が違うという「CP対称性の破れ」が実験で確認されたと聞き、それを説明する理論を、名大大学院を修了して後を追うように京大に助手としてきていた小林誠とともにつくりあげた。その過程で、原子核を構成する基本粒子である「クォーク」が6種類であることを予言した。これが1973年に発表された「小林・益川理論」である。1994年には6種類目のクォークである「トップ・クォーク」がアメリカのフェルミ研究所で発見され、理論の正しさがますます確かになった。あらゆる素粒子の性質を説明する「標準理論」の要(かなめ)となっている。2001年度の文化功労者。2008年、「クォークが自然界に少なくとも3世代以上あることを予言する、対称性の破れの起源の発見」により、小林誠とともに、ノーベル物理学賞を受賞した。同年、文化勲章を受章。2010年には学士院会員となった。[馬場錬成]
『益川敏英著『現代の物質観とアインシュタインの夢』(1995・岩波書店) ▽益川敏英著『いま、もう一つの素粒子論入門』(1998・丸善)』

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