日本大百科全書(ニッポニカ) 「輸出入品等臨時措置法」の意味・わかりやすい解説
輸出入品等臨時措置法
ゆしゅつにゅうひんとうりんじそちほう
1937年(昭和12)9月10日公布の戦時における貿易・物資統制の基本法。8月、政府は国際収支の均衡を図るため、貿易組合が自主的統制をなしうる「貿易および関係産業調整法」を定めたが、8月以降日中戦争が拡大したため、規制対象を広げ、違反には実刑をも科する戦時色の濃いこの法律が制定されたのである。同日、軍需工業動員法適用法、臨時資金調整法、臨時軍事費特別会計法、臨時船舶管理法などの統制法規も公布された。本法は、「支那(しな)事変ニ関連シ国民経済ノ運行ヲ確保スル為ニ」政府が必要と認めれば、物品を指定して輸出入の制限・禁止を命じ、輸出入に関連する物品の製造、配給、譲渡、使用または消費について命令する権限を商工大臣に付与した一種の授権立法であり、戦時貿易行政の基本となり、幾多の商工省令が出され、適用は広範囲にわたった。45年(昭和20)12月廃止されたが、この間、より強い統制力をもつ貿易統制令が41年に制定された。
[長 幸男]