農業経営の規模拡大、農地の集団化など農地保有の合理化のほか、農業に関する各種事業の遂行を中心的な業務とする公共企業体。都道府県農業公社と市町村農業公社がある。
各都道府県の農業公社は1971年(昭和46)前後に国の農地保有合理化事業の主体を担う農地保有合理化法人の指定を受け、離農農家や小規模農家から農地を買い入れまたは借り入れ、農地を整備・集団化したうえで、意欲ある農業者へ売り渡しまたは貸し付け、農地の規模拡大を促す役割を担った。また、新規就農者などの農業の担い手育成、農用地・牧草地の整備、畜産振興、農業経営の改善指導なども実施した。法人形態は公益財団法人、公益社団法人、一般財団法人など多様で、名称も農業公社のほか「農業振興公社」「農業開発公社」「農業支援センター」「みどり公社」などさまざまであった。しかし、耕作放棄地の増加が続くなかにあっても、農地の売買に抵抗がある農業者が多く、農地の集約・規模拡大が進まなかったため、政府は都道府県農業公社の農地保有合理化法人としての役割を改め、農地の売買仲介でなく貸借仲介を主眼とする「農地中間管理機構」を創設することとした。2014年(平成26)3月に農地中間管理事業推進法(農地中間管理事業の推進に関する法律。平成25年法律第101号)が施行されたのを受け、各都道府県は都道府県農業公社を農地中間管理機構に指定し、農業公社に農地中間管理事業に係る業務を担当させた。
市町村農業公社は1990年代に全国で設立が相次ぎ、農作業の受託、農産物の加工・販売、地域・観光振興、特産品の開発・販売、農地・森林の管理、耕作放棄地対策、都市住民との交流事業などに取り組んだ。1992年(平成4)以降、農地保有合理化法人の指定を受け、農地の売買・貸借仲介に取り組む公社もあったが、2009年に市町村農業公社における同制度は廃止された。2014年3月の農地中間管理事業推進法の施行以降は、地域特産物の普及、ブランド育成、観光振興などに取り組んでいる。
[矢野 武 2016年12月12日]
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