農業法人(読み)ノウギョウホウジン

デジタル大辞泉 「農業法人」の意味・読み・例文・類語

のうぎょう‐ほうじん〔ノウゲフハフジン〕【農業法人】

法人組織によって行う農業経営体。租税対策または共同経営の一形態として、昭和37年(1962)法制化。

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共同通信ニュース用語解説 「農業法人」の解説

農業法人

農業や関連する事業を手掛ける法人。株式会社や組合組織で運営する農事組合法人が多くを占める。収入家計分離経営管理が徹底でき、取引先からの信用を高められるほか従業員を雇用しやすくなるとされる。会計処理が複雑になり事務負担が増える側面もある。条件を満たし農地取得ができる農業法人は「農地所有適格法人」と呼ばれる。

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精選版 日本国語大辞典 「農業法人」の意味・読み・例文・類語

のうぎょう‐ほうじんノフゲフハフジン【農業法人】

  1. 〘 名詞 〙 農業に関する事業を行なう法人。農業経営の共同化の一形態として、昭和三七年(一九六二)法制化された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「農業法人」の意味・わかりやすい解説

農業法人
のうぎょうほうじん

農業事業体(農業経営を行う事業体)のうち、農業経営を主目的とする法人格所有の事業体。農業事業体には、農家、組合、会社、学校、国・地方公共団体など、農業経営を行うすべての事業体が含まれるが、このうち主目的が農業経営であって、かつ法人格を有する事業体のことをいう。このように、一般には、農業法人とは農業経営法人のことをさし、農業経営者が組織する農業組織法人(たとえば農協法に基づく1号農事組合法人など)を含めてはいない。

 1999年(平成11)、日本の農業法人の経営確立と発展目途として、社団法人日本農業法人協会(前身は全国農業法人協会)が設立され、その傘下にある都道府県農業法人協会と連携して、活発な農業法人支援活動を開始した。

 わが国で農業法人が社会問題化したのは、1950年代後半、所得税軽減を目的に農家の一戸一法人化運動がおこったときである。当時、農用地を取得できる法人格所有の農業事業体について法制上の規定が明確でなかったため混乱を招いたが、1962年(昭和37)農業協同組合法の改正で農民の協同組合組織によって農業経営を行う農事組合法人(2号法人)と、農地法の改正で農用地を取得して農業経営を行う農業生産法人が、それぞれ認められることによって決着をみた。ここで、農地法に定める要件を満たすため、農用地を取得(購入・借入等)して農業経営を行うことができる農業法人を、農地法上とくに農業生産法人といっており、合名会社、合資会社、有限会社、農事組合法人、それに株式譲渡制限を行う株式会社が農業生産法人になれるとされている。なお、株式会社形態の農業生産法人は、2000年11月29日の農地法改正(2001年3月施行)によってようやく認められた。

[武部 隆]

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改訂新版 世界大百科事典 「農業法人」の意味・わかりやすい解説

農業法人 (のうぎょうほうじん)

農業およびそれに付帯する事業を目的とする法人。農業は伝統的に農家の家族経営で営まれてきたが,高度成長期以降,農業にも多様な機械施設が導入され,これらの設備と農地の有効な利用をはかり,市場対応を行うために,共同経営の形成や生産過程の部分的な共同化をめざして,さまざまな農家の集団的組織が生まれた。また人を雇って企業的に展開する経営も現れた。これらの組織体が法人格をもつ必要性も認められ,1962年の農業協同組合法,農地法の改正が農業法人法制化の画期となった。農事組合法人(農業協同組合法による)や有限会社(有限会社法による)の形態をとる農業法人が多い。また家族経営の法人化も行われている。これらのうち,農地法が定める一定の要件をみたしている法人は,農地を所有したり貸借する資格をもち,農業生産法人とよばれる。1995年現在,農事組合法人数6720,そのうち農業生産法人の資格をもつもの1335,また農業生産法人の資格をもつ会社は,有限会社2797,合名会社4,合資会社14である。98年9月現在,株式会社には農業生産法人の資格は認められていない。
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百科事典マイペディア 「農業法人」の意味・わかりやすい解説

農業法人【のうぎょうほうじん】

農業を営む法人の総称。税金対策や共同化のために利用され,合名・合資・有限などの会社や農事組合法人がある。1962年農地法と農業協同組合法の改正により,一定の要件を備えるものは農業生産法人として農地の権利取得につき農地法の特例を認められる。

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