政治家が自らの資金を故意に政党支部や政治団体を経由して後援団体へ寄付し、所得税控除などの税制優遇を受ける行為。租税特別措置法では、政治家が直接、自らの後援団体へ寄付した場合、「寄付した者に特別の利益が及ぶ」として税制優遇は受けられない。一方、政党や政治団体へ寄付した場合には、寄付者が確定申告すれば、課税対象の所得総額から寄付額が差し引かれるか、寄付額の最大約3割が所得税額から控除される。この違いを利用し、いったん政党支部や政治団体へ寄付し、そこから自らの後援団体(後援会、政治資金管理団体)へ寄付金を回す、つまり迂回すれば、寄付金を自らの後援団体で使えるうえ、税制優遇も受けられる。
2013年(平成25)4月、自由民主党、民主党、日本維新の会、みんなの党、生活の党などの複数の国会議員や地方議員、首長らが2009年から2011年にかけて迂回寄付により税還付を受けていたことが相次いで発覚した。1974年(昭和49)の参議院選挙で企業・団体献金が社会的問題となったのを機に、個人の政治献金を推奨し定着させるため、1975年以降、個人献金は税額(寄付金)控除の対象となっている。このため迂回寄付は税法上、違法ではないが、「個人献金を奨励する制度を節税の抜け穴として使っており、有権者・納税者の理解を得られない」「政治家が自らの寄付額を使えるうえ、税還付額が利益として政治家に入る錬金術だ」といった批判を浴びた。しかし「法的に問題ない」「節税対策ではない」と主張する政治家もおり、関連法改正など迂回寄付の実効ある防止策は実現していない。
[編集部]
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