遣唐使船(読み)けんとうしせん

山川 日本史小辞典 改訂新版 「遣唐使船」の解説

遣唐使船
けんとうしせん

遣唐使乗船。「続日本紀」などの正史や「入唐求法巡礼行記」の記事をもとに,「聖徳太子絵伝」「吉備大臣入唐絵巻」などの後世絵画,中国泉州・寧波(ニンポー)や韓国新安沖発見の宋・元代の船によって推測すると,長さ30m,排水量300トン程度で百数十人が乗船でき,マストには網代帆(あじろほ)をつけ,舷側に櫓棚(ろだな)を設けていたらしい。構造は,平底で弱いとする説と竜骨をもちジャンク同様とする説がある。良材に富む安芸国で造られることが多く,位階や佐伯・播磨速鳥・大平良などの船号を与えられた例がある。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「遣唐使船」の意味・わかりやすい解説

遣唐使船
けんとうしせん

遣唐使を派遣するのに使用された船。初期は朝鮮西海岸沿いの安全な航路をとったが,新羅との関係が悪化してからは九州から中国へ直航する東シナ海横断航路をとったため,海難が多かった。普通4隻の編成で,1隻には 120人あまりも乗っているので,中国式ジャンク構造の大型船と推定されている。航海は帆と櫓を併用したが,航海術の幼稚さが海難の頻発に結びついた。建造地は主として安芸国 (広島県) であった。

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