日本大百科全書(ニッポニカ) 「還元酵素」の意味・わかりやすい解説
還元酵素
かんげんこうそ
レダクターゼreductaseともいい、酸化還元酵素の一種。酸化還元反応系を触媒する酵素は、普通は正逆両反応を促進するが、反応が電位の関係からほとんど一方のみで、しかもその物質の還元が生理学的に重要な場合、還元酵素とよび、その基質の名称を頭につけて示す。硫酸還元菌における硫酸レダクターゼ、大腸菌をはじめとする条件的嫌気性菌における硝酸呼吸に関与する硝酸レダクターゼ、フマル酸発酵に関与するフマル酸レダクターゼのほか、グルタチオンレダクターゼ、フェレドキシンNADP+レダクターゼ、グリオキシル酸レダクターゼなど、植物における電子伝達に関与するものもある(フェレドキシンは電子運搬体の作用をもつ低分子のタンパク質)。
[飯島道子]
『山田和順著『組織化学――初学者のための基礎と実際』(1987・南江堂)』▽『山中健生著『呼吸酵素の生化学』(1993・共立出版)』▽『D・ヴォート、J・G・ヴォート著、田宮信雄他訳『ヴォート 生化学』(1996・東京化学同人)』▽『矢島治明他編『廣川タンパク質化学4 酵素』(2000・廣川書店)』