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都市社会学 とししゃかいがく urban sociology

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

都市社会学
とししゃかいがく
urban sociology

都市を研究の対象とする社会学の一分野で,農村社会学と対比される。 1925年にアメリカで学会から専門分野として承認された。都市社会学が問題とするのは都市の基本的諸属性,すなわち地域的広がり,空間形態,人口規模,人口密度,職業構成と産業構成,通勤,内部の空間構造,位置,都市人の生活様式,意識態度などである。

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デジタル大辞泉の解説

とし‐しゃかいがく〔‐シヤクワイガク〕【都市社会学】

都市の社会・生活構造社会意識都市問題などを研究対象とする社会学の一分野。アメリカの社会学者パークが創始。

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世界大百科事典 第2版の解説

とししゃかいがく【都市社会学 urban sociology】

都市生活の実態をふまえて,都市,都市の地域・地区,都市圏の現状,動態,変貌を解明しようとする特殊社会学の一分野。都市社会学の研究は,1920年代にアメリカで当初は人間生態学の観点から行われ,C.ブースの《ロンドン民衆の生活と労働》(全17巻,1902‐03),トマスWilliam I.Thomas(1863‐1947)とF.W.ズナニエツキーの共著《ヨーロッパおよびアメリカにおけるポーランド農民》(1918‐20),シカゴ学派のR.E.パーク,E.W.バージェス,R.D.マッケンジーによる共著《都市》(1925)が注目される。

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大辞林 第三版の解説

とししゃかいがく【都市社会学】

都市の社会的諸関係・社会構造・文化などを研究対象とする社会学の一分野。 → 農村社会学

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

都市社会学
とししゃかいがく
urban sociology

都市ないし都市的生活様式をその研究の中心的な対象とする社会学の一分野。農村社会学rural sociologyと対比されることもあるが、その固有の対象は、究極的には「都市的なもの」the urbanであって、都市だけでなく、郊外、農村にも広がる。[高橋勇悦]

研究領域

都市社会学の研究領域は五つに分けられる。第一は社会構造で、(1)地域構造、人口構造、(2)階層・階級構成、集団構成、(3)家族、学校、企業など(ただし都市の構造的要素として)が含まれる。第二は生活構造で、これには集団参加、生活関係(親族関係、近隣関係など)、生活時間、生活空間、生活水準などが入る。第三は社会意識で、都市的パーソナリティー、社会的性格、市民意識、住民意識、生活意識などを含む。第四に都市計画があり、これは開発計画や社会計画、まちづくりやコミュニティの形成をその内容とする。第五に都市問題があり、これには生活環境(生活基盤、生活施設など)、公害、災害の問題のほかに、社会病理(犯罪・非行、慢性アルコール中毒、麻薬、精神障害など)、社会福祉の問題も含まれる。このうち、社会構造、生活構造、社会意識の研究領域は都市社会学の基礎的なものであり、都市計画と都市問題の研究領域は応用的なものである。しかし、すべての領域の研究は相互に密接に関連しあっていることはもちろんである。そして、いずれの領域においても「都市的なもの」との関連において問題の研究が進められるところに都市社会学は成立する。[高橋勇悦]

展開

都市社会学は、1920年代から1930年代にかけて、R・E・パーク、E・W・バージェスを中心とするシカゴ学派によって社会学の一分野として確立された。パークは社会過程を競争、闘争、応化、同化の四つに分けてとらえ、競争の過程においてコミュニティが、また闘争、応化、同化の過程においてソサエティ(合意による社会秩序)がそれぞれ形成されると考え、コミュニティからソサエティへの移行がいかにして可能になるか、それを追究するのが都市社会学の課題であるとした。競争competitionの過程のなかで形成されるコミュニティの研究を担うのが人間生態学human ecologyである。
 パークの都市社会学はL・ワースによって継承、展開された。ワースは都市cityを独立変数として、都市が都市的生活様式(urbanism、アーバニズムとそのままいわれることが多い)を生み、それが都市社会urban societyをつくると考え、その都市的生活様式は、(1)人間生態学的側面、(2)社会集団・社会組織的側面、(3)社会心理学的側面の三側面からとらえられると主張した。都市的生活様式という「都市的なもの」がやっと初めて明示され、ここに都市社会学の主流は確立したのである。
 しかし、パークにしろワースにしろ、19世紀後半から20世紀初頭にかけて急成長した現実の都市(シカゴ)の状況を反映した社会解体論の色彩をもっていた、という点では共通している。その後、パークらの指導の下、ホーボー(渡り労働者)、家族解体、犯罪、少年非行、スラムなどをテーマとした一連のシカゴ・モノグラフが生み出された都市社会学の主軸は、このシカゴ学派によって確立された都市社会学を批判、修正、継承する形で展開した。
 一つの潮流は、1970年代なかばにおけるマルクス主義の史的唯物論に基礎づけられたネオ・マルクス主義都市社会学である。カステルManuel Castells(1942― )に代表される新都市社会学new urban sociologyは、シカゴ学派を中心とした伝統的都市社会学の批判を展開した。カステルは、都市システム(生産、消費、交換、管理の要素のシステム)として空間をとらえる視点を提示し、集合的消費過程を議論の焦点に据えた。『都市とグラスルーツ』The City and the Grassroots(1983)においてカステルは、先進資本主義社会における住宅・交通・医療・福祉などの集合的消費過程に対する国家介入、それを契機とする都市社会運動の展開を詳細な歴史的実証分析によって跡づけている。1980年代後半以降、カステルは、情報技術の発展・経済的リストラクチャリングの進展に伴う新たな空間過程としての『情報都市』The Informational City(1989)の出現を指摘し、新たな都市・空間理論を展開している。
 もう一つの潮流は、ネオ・アーバニズム論とよばれるフィッシャーClaude Serge Fischer(1948― )の下位文化理論である。シカゴ学派のイデオロギー批判を行った新都市社会学とは異なり、フィッシャーはアーバニズム理論の再構築という内在的批判を展開した。フィッシャーの下位文化理論の視点は、都市は「構造的分化」(分業の発達、社会的ネットワークの分化)を通して、「非通念的」で多様な下位文化を生成するという点である。下位文化理論は、都市度と社会的ネットワークの関連の検証というかたちで実証研究が蓄積されている。[高橋勇悦・原田 謙]

日本の研究業績

日本の都市社会学は、第二次世界大戦前における奥井復太郎(1897―1965)の『現代大都市論』(1940)があるが、本格的には戦後に始まっている。奥井もそうだが、戦後も、磯村英一(いそむらえいいち)(1903―1997)(『都市社会学』1953)をはじめ、やはりアメリカの都市社会学の影響を強く受けた研究が多い。しかし、農村社会学で業績をあげた有賀喜左衞門(あるがきざえもん)の同族団・組という「民族的特質」の視点からの『都市社会学の課題』(1948)や、鈴木栄太郎の「結節的機関」を軸とする『都市社会学原理』(1957)など、いわば日本独自の都市社会学も提唱されている。また、福武直(ふくたけただし)(1917―1989)の農村社会学の研究をマルクス主義の視点で受け止めた立場からの都市社会学・地域社会論(北川隆吉(たかよし)・島崎稔(みのる)編著『現代日本の都市社会』1962など)や、新明正道(しんめいまさみち)の総合社会学の理論を踏まえた『産業都市の構造分析』(1959)なども現れた。このように、日本の都市社会学はかなり多様であるが、やはりアメリカの都市社会学が大きな一つの軸になって展開してきたといえよう。
 都市社会学の対象となる問題も時代とともに変化してきている。1940年代後半は社会病理の研究が目だっているが、1950年代中期以降になると都市化、都市的パーソナリティーの研究や社会構造(地域集団論、都市類型論を含む)の研究が展開された。1965年(昭和40)ころから、急速な都市化に伴う都市問題が注目され、住民運動、市民意識の問題が取り上げられ、コミュニティ形成、生活構造などの諸研究が盛んであった。1980年代になると、情報化・国際化・高齢化という大きな社会変動に伴い、都市社会学の研究領域は拡大した。とくに新都市社会学の台頭を背景にして、グローバル化に伴う都市構造再編過程における世界都市world cityが注目を集めた。1990年代後半以降、その世界都市化がもたらした大都市と地方の地域間格差や、大都市内部における社会階層の分極化に関する研究が進められた。とくに、外国人労働者の増大に伴うエスニシティ(民族)研究、ホームレスの増大に伴うアンダークラスに関する議論が活発に展開された。近年では、デザイナーや建築家などの市民の創造性を活かして、文化芸術と産業の融合による都市再生を目ざす創造都市creative cityが注目を集めている。[高橋勇悦・原田 謙]
『鈴木広・高橋勇悦・篠原隆弘編『リーディングス日本の社会学7 都市』(1985・東京大学出版会) ▽高橋勇悦監修、菊池美代志・江上渉編『21世紀の都市社会学』(2002・学文社) ▽松本康編『都市社会学セレクション 近代アーバニズム』(2011・日本評論社)』

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