社会秩序(読み)シャカイチツジョ(英語表記)social order

翻訳|social order

デジタル大辞泉 「社会秩序」の意味・読み・例文・類語

しゃかい‐ちつじょ〔シヤクワイ‐〕【社会秩序】

社会生活が混乱なく営まれている状態。また、そのために必要な社会の制度仕組み。

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精選版 日本国語大辞典 「社会秩序」の意味・読み・例文・類語

しゃかい‐ちつじょシャクヮイ‥【社会秩序】

  1. 〘 名詞 〙 一つ社会構造において、自然的であれ、強制的であれ、一定の統制ある状態が成立していることやその状態そのもの。また、そのために必要な社会の制度や仕組。
    1. [初出の実例]「社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない」(出典:弁護士法(1949)一条)

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改訂新版 世界大百科事典 「社会秩序」の意味・わかりやすい解説

社会秩序 (しゃかいちつじょ)
social order

客観的には,変化する環境の下で社会そのものが存続しており,主観的には,社会成員たちの生活上の欲求が充足されている状態を,広い意味で社会秩序と呼ぶことができる。もし社会成員たちの行動や相互作用がでたらめで混乱しているならば,社会そのものの存続は不可能であり,また欲求充足も妨げられるだろうから,行動や相互作用がパターン化されて規則性をもつことが必要である。要するに,行動や相互作用が構造化されていなければならないのである。それゆえ社会秩序とは,社会がこのような構造をもって可変的な環境下で存続しており,同時にこの構造を通じて社会成員たちの欲求が充足されている状態である。成員たちはこの社会の構造は正当であり実際に有効であるとの信念をもつであろう。この意味で社会秩序は正当性と実効性をもつと期待される。しかし,以上のようにいうと,社会秩序を理念的に語りすぎるきらいがある。現実の社会秩序は,正当性と実効性をあわせもつ状態と非正当性と非実効性をあわせもつ状態を両極とする連続線上に,流動的に位置づけられるであろう。人間社会は希少な資源の配分をめぐる利害闘争(闘争)と,信奉する神の選択をめぐる価値闘争から逃れることはできないので,合意に基づく社会秩序という観念には,なんらかの政治神話や擬制が含まれている。なんらかの支配,管理,調整の機関が,合意を調達しつつ,社会を秩序づけようとするのに対して,不服従,反抗,競争,闘争の発生は避けがたい。こうして社会秩序をめぐって二つの対抗するモデルが考えられてきたわけである。すなわち,社会秩序の合意モデルと闘争モデルがそれである。現実の社会は正当性と実効性を失って解体してゆく旧秩序から,さまざまな経路を経て形成されてゆく新秩序への不断の変動の中にある。この点で,社会秩序は本性上ダイナミックなものといわねばならない。
統合
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「社会秩序」の意味・わかりやすい解説

社会秩序
しゃかいちつじょ
social order

社会生活がある規則性をもってパターン化されていて、それを通じて個々人の欲求が充足され、かつ社会全体が存続することができる場合、そこに社会秩序が成り立っている。個人の欲求充足と社会の存続という二つの基本的要請が同時に実現されるには、人々の行為がなんらかのパターン、すなわち構造によって制御されていなければならない。そのような構造を組み立てている要素としては、第一に、価値および規範体系があって、正当で望ましい行為を選ぶ基準とルールを指示している。第二に、集団役割があって、人々が配分された資源を使用して他者と関係しつつ実効性のある行為をするように指示している。こうして社会生活は制御されて秩序づけられる。したがって社会秩序とは、第一に、人々がその社会の価値および規範の体系を正当なものとして受容している状態であり、第二に、資源配分が妥当であって、集団のなかでの役割を人々が実効性をもって遂行している状態である。このような意味での正当性と実効性を保証する構造があって、それによって個人の欲求充足と社会の存続とが実現されている状態こそ、社会秩序である。

 しかし、これは社会秩序の理念型であり、現実は、程度の差はあれ無秩序(あるいはアノミー)を含んでいる。社会は秩序と無秩序の間を動揺する。しばしば法と秩序という名の下に強権が発動される場合がある。しかし、それは強制された秩序である。

[塩原 勉]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「社会秩序」の意味・わかりやすい解説

社会秩序
しゃかいちつじょ
social order

社会総体において社会過程が一定の明確な調和的均衡をもっている状態のこと。社会の秩序が成立するためには,社会の中核である結合的な統合の確立が前提とされている。したがって,こうした秩序の成立には,一面において社会の成員の間に秩序を要求する自発的意志が必要である。このように成員の間で自発的,自然的に生じる秩序を自然的秩序と呼ぶ。しかし,社会の秩序が自発性,自然性のみによって,いわば慣習的に成立するのはまれであって,一方でなんらかの強制が作用している。この意味において,社会秩序は自発性,自然性と強制との間で成立しているといってよい。社会秩序が必然的に強制の要素を含むところから,これをもって社会の特性とみなす考え方がある。 É.デュルケムが社会威圧をもって,社会秩序の特性とみなしたことは有名である。

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