酸茎(読み)スグキ

精選版 日本国語大辞典 「酸茎」の意味・読み・例文・類語

す‐ぐき【酸茎・酢茎】

  1. 〘 名詞 〙
  2. すぐき菜を葉と根を付けたまま初冬に塩づけにして酸味香気を生じさせた漬けもの。もとは、自然発酵させ、うま味のでる四月頃に食した。京都上賀茂の名産。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「此の月江州并に上賀茂の土人酸茎(スクキ)を京師に贈る」(出典:日次紀事(1685)四月)
  3. 茎菜を発酵させ、少し酸味を帯びたものを塩づけにした木曾御岳名産の漬けもの。晩冬から春に食する。
    1. [初出の実例]「花とちる身は西念が衣着て〈芭蕉〉 木曾の酢茎に春もくれつつ〈凡兆〉」(出典:俳諧・猿蓑(1691)五)
  4. すぐきな(酸茎菜)

すい‐ぐき【酸茎】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「すいくき」とも ) 酸茎菜(すぐきな)の漬物。すぐき。
    1. [初出の実例]「よによきすいくきのありけるを、なほほしく思はれけるにや〈略〉『酢茎(スイクキ)くはう』と二声、鶯の鳴くこわ色にての給ける」(出典:梵舜本沙石集(1283)八)
    2. 「南都には吉(よき)酸茎(スイクキ)をひりひりと云」(出典:雑談集(1305)一〇)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の酸茎の言及

【スグキナ(酢茎菜∥酸茎菜)】より

…アブラナ科の二年草。漬物にすると独特の酸味があるところから,スイグキナともいい,また地名からカモナ(賀茂菜)ともいわれる。葉には毛がなく,へら形で,葉縁の欠刻程度は多様である。根は倒円錐状に肥大する。京都の特産で京都付近での栽培が多いが,最近では丹波地方でも作られるようになった。来歴は明らかではないが,江戸時代の文献に記載のあるところから,300年前後の栽培歴のあることが認められている。種としてはカブ・アブラナ類のもので,古い原種は絶滅し,現在栽培されているものは明治後期に,原種系と聖護院カブおよびナタネを交雑したものに由来している。…

【漬物】より

…品漬は赤カブにキュウリ,ナス,ハツタケその他の野菜やキノコをとり合わせた塩漬で,色の美しい飛驒高山の名物。(5)近畿 京都の漬物は,千枚漬,酸茎(すぐき),しば漬,菜の花漬,壬生菜(みぶな)漬,日野菜漬とまことに多彩である。酸茎は,晩秋に収穫したカブの1種であるスグキナの根株を塩漬にし,独特のおもしをかけて寒気にさらすもので,乳酸発酵に由来する独特の酸味と香味が珍重される。…

※「酸茎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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