日本大百科全書(ニッポニカ) 「里美」の意味・わかりやすい解説
里美
さとみ
茨城県北部、久慈郡(くじぐん)にあった旧村名(里美村(むら))。現在は常陸太田市(ひたちおおたし)の北部を占める一地区。1956年(昭和31)小里(おさと)、賀美(かみ)の2村が合併して成立。名称の「里美」は合併2村の合成による。2004年(平成16)金砂郷町(かなさごうまち)、水府村(すいふむら)とともに常陸太田市に編入。旧村域は、北を福島県と接し、多賀山地と久慈山地を分ける久慈川支流里川流域の山村。冬の気候は厳しい。国道349号(棚倉(たなぐら)街道)、461号が通じる。水戸藩領で、東北地方の通路をなした。農牧林業が主産業で、タバコ、コンニャク、茶、シイタケ、木材を産する。里川には水力発電所が多い。古くからの馬の産地で、明治時代には里美牧場や徳川家の天竜院(てんりゅういん)牧場などが開かれた。関東有数の広さを誇る里美牧場では、現在では肉牛、乳牛の飼育が行われ、観光施設も備える。東部は花園花貫(はなぞのはなぬき)県立自然公園域。
[櫻井明俊]