量子重力理論(読み)りょうしじゅうりょくりろん(英語表記)theory of quantum gravity

日本大百科全書(ニッポニカ) 「量子重力理論」の意味・わかりやすい解説

量子重力理論
りょうしじゅうりょくりろん
quantum gravity theory

重力量子化した理論。重力は時空の歪(ゆが)みとして一般相対性理論で説明されるが、古典論である(量子論ではない)。そこで重力を量子論で説明するために、重力を連続的な量でなく、量子化する研究が続いているが、重力を量子化する際の発散(無限大)が大きな困難になり、まだ完成していない。これまでに考えられてきたのは、超重力理論ループ量子重力理論超ひも理論超弦理論)などの理論である。超重力理論は一般相対性理論を超対称化(ボゾンフェルミオンの入替に対応した対称性を備えた)した理論である。ループ量子重力理論は時空に分割不可能な最小単位があることを想定して量子化する理論である。時空を点(ノード)と点を結ぶ線の関係ととらえ、それをグラフ化して扱う。また超ひも理論は物質を点として扱うのではなく、一次元のひもの振動として考える理論を超対称化したものである。

[山本将史 2022年7月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「量子重力理論」の意味・わかりやすい解説

量子重力理論
りょうしじゅうりょくりろん
theory of quantum gravity

重力量子論量子物理学)で基礎づける理論。重力の理論である一般相対性理論は,枠組みとしては古典物理学である。しかし電磁気力核力などが根本的には量子論の枠組みで構成されるならば,重力も同様でなければならない。そのため,早くから一般相対性理論を量子論の枠組みでつくり直す量子重力論の構築が試みられていたが,発散の困難(くりこみの問題)がほかの力の場合のようには解決されず,矛盾のない理論は確立されていない。量子重力理論としてこれまでに提案されているもののなかで最も有望視される試みが超弦理論である。超弦理論は重力以外のほかの力も含めた統一理論を目指しており,粒子を弦という広がりをもったものとしてとらえるので発散の困難が和らいでいるが,理論としては未完成である。超弦理論以外にも,ループ重力論などのさまざまな試みがなされている。量子重力は自然界の根本理論をつきとめるために必要なだけでなく,宇宙発生という,ミクロな時空がからんだ大問題を扱ううえでも不可欠な理論である。

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