日本大百科全書(ニッポニカ) 「金子筑水」の意味・わかりやすい解説
金子筑水
かねこちくすい
(1870―1937)
哲学者、評論家。本名馬治(うまじ)。長野県生まれ。東京専門学校(現、早稲田(わせだ)大学)を卒業、同校講師。ドイツに留学、新カント派のW・ブントらに学び、1904年(明治37)帰国、早大で哲学、美学、心理学を担当。理想主義の観点から、自然主義の早稲田にあって自然主義の是正を試み、大正期には、真善美の創造、調和を生の最高価値とする文化主義を唱え、穏健中正の立場で、調和のとれた文化の幅広い発展を説いた。主著に『生活と文化』(1919)、『欧洲思想大観』(1920)、『芸術の本質』(1924)、『金子博士選集』上下がある。
[中村 完 2016年8月19日]
『『明治文学全集50 金子筑水他集』(1974・筑摩書房)』