金鉱床(読み)きんこうしょう(英語表記)gold deposit

日本大百科全書(ニッポニカ) 「金鉱床」の意味・わかりやすい解説

金鉱床
きんこうしょう
gold deposit

金を採掘対象とし、金鉱石を産する鉱床。金は地殻に平均0.0015ppm含まれる。金のみを採掘対象とする鉱山の最低金品位は0.2ppm程度である。金の鉱石鉱物はほとんどが自然金である。金の熱水鉱床は、石英を主に、方解石氷長石、粘土鉱物などを脈石鉱物とする鉱脈、あるいは火山岩を交代した鉱床で、しばしば銀鉱物を伴う。カーリン型金鉱床は堆積岩(たいせきがん)を母岩とする鉱染鉱床で、金粒は小さく、品位も低いが、鉱量が多いことを特徴とする。金は斑岩(はんがん)銅鉱床塊状硫化物鉱床の副産物としても回収される。これらの初生鉱床が風化、流出し、自然金が河川や海浜に堆積した漂砂鉱床からは、砂金として採掘される。南アフリカのウィトワーテルスランド(ウィットウォータースランド)地方に分布する含金礫岩(れきがん)は、先カンブリア時代に生成した漂砂鉱床である。2009年の世界の金の生産量は2570トンで、おもな産出国は中国(11.8%)、オーストラリア(8.6%)、アメリカ合衆国(8.1%)、南アフリカ(7.7%)、ロシア(7.7%)、ペルー(6.8%)、インドネシア(4.0%)である。2010年(平成22)の日本の産出量は約8500キログラム。

[正路徹也]

『鞠子正著『鉱床地質学――金属資源の地球科学』(2008・古今書院)』

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