周囲の地層の層理、あるいは岩石の縞(しま)状構造と非調和な形態の鉱床のうち、板状(脈状)、筒状などのように規則性がなく、全体として不規則な形を示し、鉱石鉱物が微細な集合体をなして散点する鉱床。正マグマ性鉱床のうち、鉱石鉱物の量が副成分鉱物程度のものがこれに相当し、例としてダイヤモンド鉱床、一部のニッケル銅鉱床があげられる。熱水鉱床では、鉱液が岩石中の小さな割れ目あるいは孔隙(こうげき)を浸透し、鉱石鉱物が孔隙中に沈殿するか、造岩鉱物の一部を交代して生成される。斑岩(はんがん)銅鉱床は鉱染鉱床の代表的な例であり、そのほかに斑岩型モリブデン鉱床、斑岩型錫(すず)鉱床などの例がある。また、塊状鉱床、鉱脈鉱床の周縁部、網状(もうじょう)鉱床の一部に鉱染状の鉱石を産することがある。鉱染鉱床は一般に鉱石品位が低いので、経済的に採掘するには鉱床が大型である必要がある。
[鞠子 正]
岩石中のこまかい割れ目や空隙,あるいは鉱物の粒間を満たして有用な鉱物が生成している鉱床。マグマが地下の比較的浅いところまで上昇して固結する時に細かな割れ目を生じ,これに沿って鉱化流体が流動して有用な鉱物を沈殿するもの(例えば斑岩銅鉱床)や,石灰岩などのように溶解しやすい岩石と鉱化流体が反応して新しく生ずる岩石中に,有用な鉱物が反応の産物として散点して含まれるもの(例えば接触交代鉱床),また砂岩,レキ岩,凝灰岩などのように比較的多孔質の堆積岩に鉱化流体が染みこんで有用な鉱物を沈殿させるもの(例えばコッパー・ベルト型銅鉱床)など,さまざまな成因の鉱床がこの形をとる。有用な鉱物の産出状態による人為的分類の一つであるから,例えば岩石中の割れ目の大小,頻度によっては鉱脈鉱床ともなり,有用な鉱物が著しく濃集すれば交代鉱床と呼ばれるようになる。規模は鉱床の成因によりさまざまであるが,鉱染鉱床の代表ともいえる斑岩銅鉱床では大規模なものが数多く発見されており,平面で1.5km×2km,深さ1.5kmに及ぶ。日本では接触交代鉱床以外には鉱染鉱床の好例に乏しい。しかし火山性硫黄鉱床には新生代の火山岩類の割れ目や空隙を満たしたり,岩石の一部を交代して硫黄が沈殿したものがあり(例えば岩手県松尾鉱山),これらは小規模ながら鉱染鉱床の一例である。
執筆者:島崎 英彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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