鉄タンタル石(読み)てつたんたるせき(その他表記)tantalite-(Fe)

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄タンタル石」の意味・わかりやすい解説

鉄タンタル石
てつたんたるせき
tantalite-(Fe)

タンタル鉱石鉱物で、タンタルを主成分とするもっとも普通の鉱物の一つ。単にタンタル石というと、普通は鉄タンタル石をさす。花崗(かこう)岩質ペグマタイト中に産し、リチウム電気石やリチウム雲母(うんも)を含むものに多い。自形斜方板状ないし柱状。日本では福岡県福岡市長垂(ながたれ)、茨城県常陸太田(ひたちおおた)市の妙見山(みょうけんさん)から少量を産する。外見上鉄コルンブ石に似るが比重が大きい。元素タンタルの名は、ギリシア神話に現れる、地獄で飢えと渇きに苦しんだ神タンタロスTantalosにちなんで命名され、タンタル化合物の多くが水に不溶であったことなどの理由による。端成分に近いものは正方晶系の金紅石型構造をとり鉄タピオル石tapiolite-(Fe)となるため、純粋なFeTa2O6は斜方晶系をとらない。

加藤 昭]


鉄タンタル石(データノート)
てつたんたるせきでーたのーと

鉄タンタル石
 英名    tantalite-(Fe)
 化学式   (Fe,Mn)(Ta,Nb)2O6
 少量成分  Sn,Ti,Sc
 結晶系   斜方(直方
 硬度    6~6.5
 比重    7.0~7.95
 色     黒
 光沢    亜金属
 条痕    黒~褐黒
 劈開    一方向に明瞭
       (「劈開」の項目を参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android