電気石(読み)でんきせき(英語表記)tourmaline

翻訳|tourmaline

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

電気石
でんきせき
tourmaline

トルマリンともいう。 NaX3Al6(BO3)3Si6O18(OH,F)4組成を有する一連の鉱物 (X=マグネシウム,鉄,マンガンリチウムアルミニウムなど) 。X=マグネシウムのものはマグネシウム電気石,X=リチウム,アルミニウムのものはアルカリ電気石,X=鉄,マンガンのものは鉄電気石と呼ばれ,これら相互間には連続ないし部分固溶体が形成される。三方晶系。比重 3.1,硬度7。無色,赤,褐,黒,青,緑など組成に応じて色調は雑多。ガラス光沢。ときに明瞭な異極像を示す。一般に柱状結晶。焦電性,圧電性がともに顕著。花崗岩質ペグマタイト中や気成作用による鉱脈などに産出する透明できずのないものは宝石として用いられ,主産地はスリランカ,マダガスカル,ウラル地方,アメリカの南カリフォルニアやメーン州などである。

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百科事典マイペディアの解説

電気石【でんきせき】

組成の複雑なケイ酸塩鉱物。Na,Mg3Al6B3Si6O27(OH,F)4など。三方晶系。通常は柱状結晶。硬度6.5〜7,比重2.90〜3.22。ガラス光沢を有し,黒,褐,黄,青等の変化に富む色彩を示す。屈折率1.61〜1.67。NaはCa,Mgは(Fe,Mn),(Li,Al)などで置換される。花コウ岩,ペグマタイト中に特徴的に産出。摩擦電気を生じ,パイロ電気性が強い。

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世界大百科事典 第2版の解説

でんきせき【電気石 tourmaline】

組成の非常に複雑なケイ酸塩鉱物で,化学成分は一般にNa(Mg,Fe,Mn,Li,Al)3Al6Si6O18(BO3)3(OH,F)4と表され,ホウ素を含むことを特徴とする。三方晶系に属し,通常は柱状結晶で長く伸びた方向に条線が発達する。長柱状結晶が集まって放射状集合体をつくることもある。透明~不透明で,ガラス光沢ないし樹脂状光沢をもつ。色は黒,褐黒,青黒,緑,紅など化学組成によって多種変化する。{110}と{101}に弱いへき開がある。

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大辞林 第三版の解説

でんきせき【電気石】

ホウ素のケイ酸塩からなる鉱物。化学組成がきわめて複雑で、アルミニウム・フッ素のほか、ナトリウム・鉄・マグネシウム・リチウムなども含む。三方晶系で、通常は柱状結晶。柱面に縦条線が見られる。ガラス光沢があり、色は黒・黒褐・緑・紅など多様。圧電性・焦電性がある。ペグマタイトや接触変成岩中に産し、美しいものは宝石となる。トルマリン。 → 圧電気焦電気

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

電気石
でんきせき
tourmaline

電気石グループ鉱物の総称。トルマリンともいう。加熱あるいは加圧により、結晶の両端がプラスとマイナスに帯電することから電気石の名がある。一般に三方柱状ないし短柱状で、柱面に伸びの方向と平行な条線が著しく発達している。現在電気石には、リチア電気石、苦土電気石、鉄電気石、苦土フォイト電気石、灰電気石、フェリ苦土電気石、バーガー電気石、灰リチア電気石など20種類以上が知られている。鉄電気石と苦土電気石がもっとも普通にみられる。
(1)リチア電気石elbaite 紅、緑、黄、紫、藍青(らんせい)など鮮やかな色をすることが多く、また無色のこともある。透明で美しいものは宝石として利用される。鱗雲母(りんうんも)(リチア雲母)などリチウムに富む鉱物を含むペグマタイト中に産する。日本では福岡県福岡市西区長垂(ながたれ)、茨城県常陸太田(ひたちおおた)市の妙見山(みょうけんさん)などで少量産する。世界的にはブラジル、マダガスカル、アメリカ、ナミビアなどが主産地。英名は美しい結晶を産したイタリアのエルバ島にちなんで命名された。
(2)苦土電気石dravite 無色に近いものから褐色ないし暗灰緑色のものまで変化に富む。広域変成岩や接触変成岩中にもっともよく産する。ほかに、ペグマタイト、超塩基性岩を貫くロジン岩、塩基性火成岩、熱水鉱脈、熱水変質でできた粘土鉱床中などに産する。クロムやバナジウムなどの成分を含むものは美しい緑色を呈し、しばしば宝石として利用される。英名は原産地オーストリアのドレーブDrave地方に由来。
(3)鉄電気石schorl 一般に黒色。白雲母が結晶面を覆ったり、内部まですっかり白雲母に置換されていることもある。花崗岩(かこうがん)質ペグマタイト中に、石英、長石、白雲母、鉄礬(てつばん)ざくろ石などを伴ってよく産する。ほかに、気成鉱床中の鉱脈やグライゼン(気成作用による変質岩の一種)中、スカルン、ホルンフェルスなどにも産する。英名の起源はドイツ語のシェールSchrl(黒電気石)に由来するが、この語のいわれはさだかではない。一説には古代ゲルマン語の残り物あるいは不純物という意味のSchorであるともいわれている。しかし、この名前はもともと多種類の鉱物に対して使われていたようである。
(4)苦土フォイト電気石magnesiofoitite 一般に針状ないし毛状で、白色から淡青緑色。熱水変質岩中に産出し、アルカリ元素に乏しい。山梨県三富(みとみ)村(現、山梨市)京ノ沢で発見された鉱物。
 これらのほか、灰電気石はカルシウム、マグネシウムを主成分とし、フェリ苦土電気石は苦土電気石のアルミニウムを3価の鉄で置換したものである。またバーガー電気石はナトリウム、3価の鉄、アルミニウムを主成分とし、灰リチア電気石(リディコアタイト)はリチア電気石のナトリウムをカルシウムで置換したものにあたる。これら4種はいずれも産出はまれである。オパール(たんぱく石)とともに10月の誕生石となっている。[松原 聰]

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世界大百科事典内の電気石の言及

【トルマリン】より

…複雑な組成のケイ酸塩鉱物で,そのために宝石のうちでも多様な色彩をもつ。一つの結晶石で二つあるいはそれ以上の色の部分をもつパーティカラード・トルマリンparti‐colored t.や,外側が緑色,内側が赤ないしピンク色の,スイカを思わせる〈ウォーター・メロン〉はトルマリンのみに見られる特徴で,珍重される。また単色でも,無色から赤,黄,緑,青,紫,褐色,黒までの色をもつものが見られる。代表的なものは緑色のグリーン・トルマリンであるが,赤ないしピンクのルーベライトrubellite,濃青色のインディコライトindicolite,無色のアクロアイトachroite,黒色のショールschorlなど,それぞれ別名をもっている。…

【トルマリン】より

…代表的なものは緑色のグリーン・トルマリンであるが,赤ないしピンクのルーベライトrubellite,濃青色のインディコライトindicolite,無色のアクロアイトachroite,黒色のショールschorlなど,それぞれ別名をもっている。熱すると電気を帯びるピロ電気性があり,和名の電気石はこの性質に由来する。またチューブ状の液体インクルージョンが平行に多数分布内包されているものは,カボション・カットするとキャッツアイ効果を示すトルマリン・キャッツアイとなる。…

【偏光器】より

…(3)一方の直線偏光成分のみを強く吸収するような媒質を利用する素子。これには電気石,ポラロイド(商品名)などがある。【田幸 敏治】。…

※「電気石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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