鉄扇(読み)てっせん

精選版 日本国語大辞典 「鉄扇」の意味・読み・例文・類語

てっ‐せん【鉄扇】

〘名〙 骨を鉄で作った扇。また、たたんだ扇の形を鉄作りにしたもの。
※雑俳・柳多留‐四六(1808)「鉄扇でぶちのめされる化け鼠」

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デジタル大辞泉 「鉄扇」の意味・読み・例文・類語

てっ‐せん【鉄扇】

骨を鉄で作った扇。また、畳んだ扇の形を鉄で作ったもの。近世武家護身用

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄扇」の意味・わかりやすい解説

鉄扇
てっせん

骨を鉄製とした扇、または畳んだ扇の形を鉄でつくったもので、近世の武家の護身用の武器を兼ねた扇である。元来、扇は、武士威容を整えるためにつねに携帯したもので、『甲陽軍鑑』には、扇を剣として、扇切(おうぎきり)と称する武術試合をした記事もある。携帯に便利で、威儀も兼ねた武具として、近世に考案されたものであろう。中世以前の文献にはみえず、古い遺物も確認されない。

[齋藤愼一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鉄扇」の意味・わかりやすい解説

鉄扇
てっせん

鍛鉄 (たんてつ) を骨とした扇。戦国時代頃から軍扇親骨を鉄でつくる風潮が起り,軍陣用,護身用に用いられたが,江戸時代になってからは主として護身用として武士が用いた。親骨だけを鉄にしたもの,中骨にも鉄を用いたもの,たたんだ形のままの総鉄づくりのものなど,その種類は多い。

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