鉄法(読み)てつほう(その他表記)Iron Act

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄法」の意味・わかりやすい解説

鉄法
てつほう
Iron Act

1750年にイギリス議会が制定したアメリカ植民地工業の規制法。鉄条例ともいう。当時、本国鉄工業の恐るべき競合産業となりつつあった13植民地の鉄工業を、原料生産のみに限定し、加工、完成鉄製品はもっぱら本国から輸入させようとしたもの。植民地の鉄工業は銑鉄鍛鉄の生産のみとされ、截鉄(せってつ)・圧延・鉄板・製鋼工場(第一次加工)の新設は禁止された。また、植民地産の銑鉄および棒鉄を本国に輸出する場合、関税を免除して輸出の奨励を図った。このような規制のもとでも、植民地時代末のアメリカには、溶鉱炉が82基、塊鉄炉または鍛鉄所が175あり、年間3万トンの粗鉄を生産し、イングランドウェールズをしのいだ。

[池本幸三]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「鉄法」の解説

鉄法(てつほう)
Iron Act

北アメリカのイギリス領植民地では製鉄業がかなり発達したが,本国は銑鉄(せんてつ)の加工を本国の鉄工所で行わせるため,1750年にこの法律定め,植民地における銑鉄の加工を禁じた。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「鉄法」の解説

鉄法
てつほう
Iron Act

1750年,イギリス議会が北アメリカ植民地における鋼鉄用溶鉱炉・圧延工場の建設を禁止した法令
本国の重商主義政策の1つで,本国製鉄業の保護をねらったもの。

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