錆びる(読み)サビル

デジタル大辞泉 「錆びる」の意味・読み・例文・類語

さ・びる【×錆びる/×銹びる】

[動バ上一][文]さ・ぶ[バ上二]《「寂びる」と同語源》
金属表面に錆が生じる。「―・びたくぎ
能力・働きが鈍くなってだめになる。「運動不足でからだが―・びてきた」
[類語]錆びつく赤錆黒錆緑青

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「錆びる」の意味・読み・例文・類語

さ・びる【錆・銹・&JISEF66;・寂・荒】

  1. 〘 自動詞 バ上一 〙
    [ 文語形 ]さ・ぶ 〘 自動詞 バ上二段活用 〙
  2. [ 一 ]
    1. 金属の表面に錆を生ずる。錆がつく。
      1. [初出の実例]「研(と)ぎおきし鞘(さや)の刀もさびぬらん刺さで久しき程ぞなりぬる」(出典:小大君集(1005頃))
    2. 水渋(みしぶ)がつく。水あかがつく。また、水渋が溜って水面茶褐色に変色する。
      1. [初出の実例]「〈末〉我が門の板井の清水里遠み人し汲まねば水佐比(サビ)にけり水佐比(サビ)にけり」(出典:神楽歌(9C後)採物)
    3. 声が低く太い。声に渋味がある。
      1. [初出の実例]「『お兼、何だいっ』と荒(サビ)た女の声が起った」(出典:魔風恋風(1903)〈小杉天外〉前)
  3. [ 二 ]
    1. ( 寂 ) 古びて趣がある。老熟して味わいを生じる。閑寂味がある。
      1. [初出の実例]「住吉の松吹く風の音さえてうらさびしくもすめる月かな〈平経盛〉〈略〉左歌、姿ことばいひしりて、さびてこそみえ侍れ」(出典:書陵部本嘉応二年住吉社歌合(1170))
    2. けちである。
      1. [初出の実例]「田舎者は是はつゐあがりてさびたるさはぎしてかへりけると也」(出典:浮世草子・新吉原常々草(1689)上)
  4. [ 三 ]
    1. 心が満ち足りないでいる。さびしく思う。
      1. [初出の実例]「まそ鏡見飽かぬ君に後(おく)れてや朝夕(あしたゆふへ)左備(サビ)つつ居らむ」(出典:万葉集(8C後)四・五七二)
    2. 人気(ひとけ)がなくて荒れる。にぎやかでなくなる。
      1. [初出の実例]「塵積るこその枕もさびにけり恋する人の寐る夜なければ」(出典:伊勢大輔集(11C中))
    3. いきおいが衰える。衰微する。古びゆく。また、おちぶれる。零落する。色などがあせる。
      1. [初出の実例]「夕づく日色さびまさる草の下にあるとしもなく弱る虫の音〈覚円〉」(出典:玉葉和歌集(1312)秋下・八一二)
      2. 「身は角助のさびた形(なり)」(出典:浄瑠璃一谷嫩軍記(1751)四)

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