錯語(読み)さくご(英語表記)paraphasia

精選版 日本国語大辞典 「錯語」の意味・読み・例文・類語

さく‐ご【錯語】

  1. 〘 名詞 〙
  2. たわごと、うわごとをいうこと。また、そのことば。譫語。〔医案類語(1774)〕
  3. 音韻をまちがえたり、語義にそわない言い違いをすること。→錯語症

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改訂新版 世界大百科事典 「錯語」の意味・わかりやすい解説

錯語 (さくご)
paraphasia

話し言葉で意図した言葉と別の誤った言葉をしゃべり,間違いに気づかない現象をいう。保続perseveration(一度発した言葉や動作を,その後の質問や命令に際し,内容に関係なく繰り返す現象)とともに,感覚失語や伝導失語にみられる。これらの失語症では,表現しようとする言葉のイメージ(言語心像)を的確に頭のなかに思い浮かべる機能が障害されているために(内言語障害),間違った言葉が浮かんでしまう。しかも,通常は頭に浮かんだ言葉をその音響像で正誤照合をするのだが,この機能も損なわれているので,誤った言葉が口からでても,その誤りに気づかない。単語の言い間違いを語性錯語といい,単語を構成する音を言い間違えるのを字性錯語というが,これらは,保続や構音障害による音韻の変化とは区別される。内言語障害は書字言語にも必然的に同様の誤りを起こす。単語を読み書きする際に,誤った別の単語として読むのを錯読paralexiaといい,誤った別の単語を書くのを錯書paragraphiaという。錯書は自発書字と書取りでみられ,写字ではみられない。錯文法を伴い,助動詞助詞,時制が混乱することもある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「錯語」の意味・わかりやすい解説

錯語
さくご
paraphasia

失語症にみられる症状で,誤った言語を用いる現象をいう。字性錯語と語性錯語とがあり,前者は単語の構成障害で,一つの言葉の語音置換脱落など,後者は単語の選択使用法の誤りで,まったく別の語を使う場合をいう。実際には両者が混在して現れる。

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