防衛計画大綱(読み)ぼうえいけいかくたいこう

百科事典マイペディア 「防衛計画大綱」の意味・わかりやすい解説

防衛計画大綱【ぼうえいけいかくたいこう】

内閣策定による日本の防衛体制の基本方針。1976年三木武夫内閣のもとで,日本の保有すべき防衛力の水準を明確にし,防衛力整備の指針を与えるものとして閣議決定されたが,1995年村山富市内閣のもとでこれを改訂した新大綱が決定された。旧大綱は〈基盤的防衛力〉という構想に基づき,〈限定的かつ小規模な侵略〉に対して〈原則として独力でこれを排除し得る能力を建設するための防衛力〉の整備が目標とされた。しかし冷戦終結に伴ってこの大綱の見直しが安全保障会議のもとで進められ,新大綱では,〈日本有事〉の際の日米協力をより明確にし,日本への直接侵略に対しては〈米国との協力のもと,極力早期にこれを排除〉するとしている。また従来の〈極東有事〉を〈日本周辺有事〉とし,〈日米安全保障条約の円滑かつ効果的な運用〉により日本の平和と安全を図るとしている。これに基づき1978年に合意をみた〈日米防衛協力のための指針〉の見直しが進められ,1997年9月の日米安全保障委員会で,日米両国は新しい〈指針〉(ガイドライン)に合意した。これを実行するために1999年ガイドライン関連3法が制定されるにいたった。 その後,防衛庁は2002年より見直しに着手,2004年12月新たな大綱を策定し,テロへの対処国際協力など〈多機能かつ弾力的〉な防衛力整備をうたい,対米協力や自衛隊の海外派遣などによる〈国際的な安全保障環境の改善〉を国土防衛と並ぶ目標と位置づけた。
→関連項目自衛隊P3C対潜哨戒機陸上自衛隊

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