阿鼻(読み)アビ

精選版 日本国語大辞典 「阿鼻」の意味・読み・例文・類語

あび【阿鼻・阿毘】

  1. 〘 名詞 〙 ( [梵語] avīci の音訳無間(むけん)と訳す )
  2. あびじごく(阿鼻地獄)」の略。
    1. [初出の実例]「上従有頂、下抵阿鼻」(出典本朝文粋(1060頃)一二・施無畏寺鐘銘〈兼明親王〉)
    2. 「あびの苦患(くげん)は受くるとも」(出典:浄瑠璃碁盤太平記(1710))
  3. ( ━する ) 大声でわめくこと。さけぶこと。
    1. [初出の実例]「(はあもう!早く草刈りにいかんとならんがあ!)そう阿鼻(アビ)しているうちに」(出典:オキナワの少年(1971)〈東峰夫〉五)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の阿鼻の言及

【地獄】より

…俱舎論によれば,まず八熱地獄があり,上から(1)等活,(2)黒縄(こくじよう),(3)衆合(しゆごう),(4)号叫,(5)大叫,(6)炎熱,(7)大熱,(8)無間(むげん)と重なっている。(1)は責苦をうけて息たえても息を吹きかえして再び責苦をうける地獄,(2)は大工の墨糸でからだに線をひかれ,そのとおりに切られる地獄,(8)は間断なくさいなまれる地獄で,原語アビーチavīciの音訳語〈阿鼻(あび)〉でもよばれる。 次に副地獄がある。…

※「阿鼻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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