(読み)ア

デジタル大辞泉 「阿」の意味・読み・例文・類語

あ【阿】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ア(呉)(漢) [訓]くま おもねる お
山や川の曲がって入りくんだ所。「山阿
自分の意志を曲げて人に従う。「阿世阿諛あゆ
人を呼ぶ語に冠して親しみを表す語。「阿兄阿父阿母阿蒙あもう
梵語の第一字母aの音写。「阿吽あうん阿字
アフリカ。「南阿
阿波あわ国。「阿州
[名のり]お・くま
難読阿闍梨あじゃり四阿あずまや阿弗利加アフリカ阿弥陀あみだ阿国歌舞伎おくにかぶき

あ【×阿】

梵語の第1字母aの音写。→阿吽あうん

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精選版 日本国語大辞典 「阿」の意味・読み・例文・類語

あ【阿】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 梵字の第一字母を表わす漢字。梵字音訳。阿字。→阿吽(あうん)
    2. アフリカ(阿弗利加)」の略。「南阿連邦
    3. あわ(阿波)」の略。
  2. [ 2 ] 〘 接頭語 〙 親しみを表わして人の姓、名前などに付けて用いる語。「阿Q」「阿兄」など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「阿」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 8画

[字音]
[字訓] くま・のき・しなやか・こびる

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は可(か)。〔説文〕十四下に「大陵を阿と曰ふ。(ふ)に從ひ、可の聲なり。一に曰く、阿は曲れる(をか)なり」(段注本)とみえる。可声が阿となるのは圭(けい)・奇(き)が蛙(あ)・倚(い)となるのと同じ。可は、(木の枝)で祝詞を収めた器である(さい)を殴(う)ち、神の許可を求める意。は神の降下する神梯。たいてい山陵の屈曲したところで、その下で儀礼を行う。

[訓義]
1. 山のくま、山のわき、さか、くま、ふもと、おか。水ならば入りこんだ岸。
2. 家の形にたとえて、のき、むね。
3. ゆるやかな傾斜、ななめ。その姿勢より、寄る、近寄る。
4. 猗・委・依と通用し、しなやかなさま、やわらかなさま、ゆっくりする、こびる意に用いる。
5. 親しみを含めた接頭語。人に対して用いる。また物にもいう。
6. と通用し、細(ほそぎぬうすぎぬ)をいう。
7. 〔玉〕に「北なり、邸(やしき)なり」の訓がある。北は隈の意からの転義であろう。

[古辞書の訓]
名義抄〕阿 クマ・キシ・マガレルキシ・ヤノムネ・ヨル・シタガフ・キタ・オモネル

[声系]
阿を声符とするものとして〔説文〕に婀・(痾)の二字を収める。女子の姿態や病気の意に用いるのは、その萎(な)えた姿をいうものであろう。

[語系]
阿・aiは同声。猗iai、委iuai、依iiなどはみな、しなやかなさまをいう語で、もと一系の語であろう。それで阿(あだ)・猗儺(いだ)・委蛇(いだ)・依遅(いち)・婀(あだ)などの連語はみな、あでやか、しなやかなさまをいう。

[熟語]
阿阿阿姨・阿意阿吽阿婉・阿翁阿伽阿哥・阿街・阿・阿閣阿監・阿丘阿舅・阿曲・阿兄・阿姑・阿公阿衡・阿子・阿私・阿姉・阿戎・阿従阿叔・阿順・阿女・阿丈・阿嬢・阿誰・阿世・阿・阿那・阿・阿大・阿・阿茶・阿弟阿諂・阿・阿奴・阿党・阿儂・阿伯・阿比・阿鼻・阿媚・阿附・阿父・阿偏・阿保・阿母・阿媽・阿妹・阿・阿爺・阿・阿邑・阿老
[下接語]
依阿・海阿・巌阿・九阿・丘阿・曲阿・隅阿・谿阿・迎阿・軒阿・谷阿・山阿・四阿・私阿・順阿・城阿・水阿・垂阿・崇阿・川阿・層阿・大阿・中阿・長阿・庭阿・洞阿・平阿・偏阿・妄阿・門阿・陵阿・阿・林阿

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【阿吽】より

…〈阿〉字は口を開くと最初に出てくる音で,梵字アルファベットの最初の字。いっさいの字,いっさいの音声はaを本源とするから,a字は諸法の本初を表す。…

【阿字観】より

…象徴的なイメージを用いる密教の冥想法。自己の心臓の位置に八葉の白蓮上の白月輪を観じ,さらにその中に観想によって〈阿〉字を炳現(へいげん)(明らかに現れること)させる。〈阿〉字(a)は悟りの内容である諸法の本不生(ほんぶしよう)ādi‐anutpādaを表す。…

※「阿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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