集団討議(読み)しゅうだんとうぎ(英語表記)group discussion

日本大百科全書(ニッポニカ) 「集団討議」の意味・わかりやすい解説

集団討議
しゅうだんとうぎ
group discussion

集団討議とは、2人以上の対話を通じて課題の理解や解決を図る方法であり、大別して、大集会における討議(大衆討議法ともいう)と、小集団による討議とに分かれる。前者の代表的なものとして、パネル・ディスカッションpanel discussionをはじめとして、シンポジウムsymposium forum、レクチャーlecture forum、コロキーcolloquy forum、ディベートdebate forumなどのフォーラム(公開討論会)がある。後者の代表的なものとしては、6.6討議ないしバズ学習buzz session、円卓討議、順送り問答、ブレーン・ストーミングbrain stormingなどがある。大集会の討議の場合には、質疑応答の時間を設けたり、小集団によるバズ学習を仕組んだりするなどのくふうがなされているが、集団成員の全員参加は困難であり、登壇者の討議や講演が中心になる。したがって、成員の共通理解とか課題解決方策とかを考案するなどの積極的な集団思考を要請する場面では、適当ではない。これには、小集団による討議法が優れている。一般にそれは、(1)一定の問題状況のなかから共通の課題認識を図る段階、(2)課題解決の方向性に沿い、情報・材料を収集する段階、(3)討議を通じて課題解決の方策をみいだす段階、(4)それを検証する段階、といった集団思考過程をもつ。集団成員の課題解決への主体性の有無が討議の成果を左右する。

 わが国では、伝統的な文化的特徴に由来するのか、人々が話し合い(討議・対話など)を通じて理解し合う能力に欠けるといわれ、1990年前後からディベート能力の向上を意図する教育活動が展開されている。小学校からの英語教育の実施も国際社会において「生きる力」を育成する教育であり、ディベート能力を高めるものである。

[岡東壽隆]

『杉山正一編著『話し合い活動の原則』(1966・明治図書出版)』『末吉悌次編著『集団学習の研究』(1983・教育出版センター)』『今谷順重編『調べ学習・まとめ・発表の指導テクニックとプラン』(1999・教育開発研究所)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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