雇い(読み)ヤトイ

デジタル大辞泉 「雇い」の意味・読み・例文・類語

やとい〔やとひ〕【雇い/×傭い】

雇うこと。また、雇われた人。「臨時―」
官公庁で、臨時に雇われた、官吏身分をもたない職員雇員こいん
裁判所一室下級書記や―など卓を囲んで」〈木下尚江良人の自白

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精選版 日本国語大辞典 「雇い」の意味・読み・例文・類語

やといやとひ【雇・傭】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「やとう(雇)」の連用形の名詞化 )
  2. 給金を払って人をやとうこと。また、そのやとわれた人。恒常的、本来的なものではなく、一時的、また、ある年限をきってやとう場合をいう。
    1. [初出の実例]「両人之者、やとひのおなこ、十月三日に加兵より籠者被致候由」(出典:梅津政景日記‐慶長一九年(1614)一二月六日)
  3. 借用すること。かりること。
    1. [初出の実例]「朋友のもとより、小荷駄馬をやとひにつかはしけるふみに」(出典:仮名草子・為愚癡物語(1662)三)
  4. 官庁などで、任官していない臨時の職員。
    1. [初出の実例]「裁判所の一室に下級の書記や雇(ヤトヒ)など卓を囲んで」(出典良人自白(1904‐06)〈木下尚江〉前)
  5. 関船造りの船体で、各櫓床のすぐ下に入れる横張力用の上船梁の別称。
    1. [初出の実例]「櫓床・雇・中貫・居貫の大さ、𦨞長一丈に付一寸掛り」(出典:早船之規矩(1654)四)

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世界大百科事典(旧版)内の雇いの言及

【すけ】より

…農地改革前の主として東北地方の農村にしばしばみられた。スケという言葉で主家への労働提供を表すのは岩手県の一部であるが,同様の労働をヤトイ(雇い),テツダイ(手伝い),テマヅトメ(手間勤め),オヤク(お役)などともいう。スケの内容は,岩手県二戸郡のある村の例では,田植,田の草刈り,稲刈りなど,毎年ほぼ一定の日数に決まっている農作業と薪伐り,すす掃き,屋根の草取りなど,必要に応じて働きに出る家事の諸作業であった。…

※「雇い」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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